The Red Krayola

Mayo Thompsonの流動的なプロジェクトとでも言えそうなのがThe Red Krayola。60年代にサイケデリック・ロックとも言えるスタイルで登場以来、ニューウェイブに行ってみたり、時折活動が無い状態に追い込まれつつも、90年代以降もJohn McEntireやJim O'Rourke等の力を借りる形で活動を続けている。

個人的には95年発表のEP『Amor and Language』で初めて音を聴いて、それ以降、新作は大体聴いてるのだけど、過去作は殆ど知らない。オレが聴き出した『Amor and Language』あたりの頃は、サイケという音を意識せずとも聴けるというか、サイケを感じることは無い。なので「サイケデリック・ロック・・・」と書いておきながら、オレ自身はそういう風に聴いていなかったりする。

じゃあ、どういう風に聴いているか。最新作の『Introduction』を聴きながら考えてみる。なぜなら、普段はイチイチ「こういう風に聴いている」何てことは考えていないので、いい機会なのでRed Krayolaの音をしっかり聴いてみる。

サイケというと、大体エレキ・ギターが「ウィーン」と鳴って、それになんとなく擦弦楽器が絡んでいて、オマケ程度にパーカッションが入っていて長尺で、という勝手なイメージがある。だけど『Introduction』は15曲も入っているので、聴く前から既に長尺という一角が崩れる。ギターの音を意識して聴く。「ウィーン」というより、「ウィ、ウィ」という感じがする。擦弦楽器やパーカッションも特に入っている感じは無い。という事で、これはオレのイメージの中のサイケにはやはり当て嵌まらない。

じゃあこれを聴いて何を思うか。オレが思ったのは、これは元々甘くないほうの音が好きな連中(少しだけオレも含まれる)が聴くAOR。意外にも歌はしっかり真中に定位しているし、曲も結構わかりやすい。音の表面も、聴き流す分には耳ざわりがいい。

それならば普通に甘くないほうの音が好きな連中じゃなくてもいいんじゃないかと思われそうだけど、よく聴くとやっぱり普通じゃない音になっていて、その辺の感触が聴く人を選ぶ。だからこれを聴くのはやっぱり甘くないほうの音が好きな連中だと思うし、この枯れ具合は、若いやつよりもある程度年齢を重ねているほうが感じるものが多いと思う。だからこれはオレにとってのAOR




ちなみに、Red Krayolaをよく知らない状態で『Amor and Language』を購入した動機はジャケット。ではない。