Jim Black

NYダウンタウン・シーンで、今一番注目度が高い(多分)タイコ叩きがJim Black。

そのJBのバンドの新作『Dogs of Great Indifference』は、従来の路線と変わらず、ロック色の強い音。全体的にミドル〜スローなテンポなので、キョウレツな音を聴けるわけではないけれど、このあたりの余裕みたいなものが、逆に音の説得力を増す。

このバンドで辛うじてジャズを感じるのは、Chris Speedのテナー&クラリネット。ただしこれも、ダウンタウンとかジャズとかの言葉からは想像しにくい、のらりくらりとした音(それなりの瞬間もあるけど)。前はこの男の吹く音が苦手だったけれど、最近は妙に気持ちよく感じるようになってきて、要注意。

ロック色が強いと書いたけれど、ここで言うロックは、ブルーズ魂溢れる直情的な音ではなく、ノー・ウェイブ〜Sonic Youthへの流れの上にある音。一見ささくれ立っていそうな感じだけど、ギター(Hilmar Jensson)・ベース(昨年の坂本龍一のライブでもベースを弾いていたSkuli Sverrisson)・ドラムの音は三位一体になった印象を与え、その上をChrisのリードが確定線を引いていくように音を出す。

実際の音は、Jim O'Rourke在籍時のSYがアメリカーナ路線をやったような音、という感じで、どこかに付かず離れずな音。