Paul Motian

ジャズ好き、その中でもピアノ好きな人で、Paul Motianの叩くドラムを聴いた事が無いという人は多分いない。それは、あのBill Evanceや凄かった頃のKeith Jarret、さらにはPaul BleyにプーさんとのTethered Moon、そしてMarilyn Crispell等の録音に参加しているからだ。言い方は悪いけれど、知性派のピアニストには人気が高いことになる。おそらくそういうタイプのピアノ弾きを刺激する資質を持っているのだろう。その分、黒いノリを持ったピアノとの共演はあまり印象に無い。

そのMotianの新作『Garden of Eden』は、Paul Motian Bandという事になっているけれど、元々はPaul Motian Electric Bebop Bandという説明付きの長い名前のバンドの事。このバンドの名前は知っていたけれど、音を聴くのは今回が初めて。ピアノとの共演の印象が強いMotianだけど、そのせいか自分のバンドではピアノは入れていない(このCDだけ?)。代わりにギターが3人いて、その3本のギターは、それぞれが有機的に絡んでいて、うまく調和した音になっている。(ギター3本というとRonald Shannon Jacksonの『Red Warrior』が頭をよぎるけど、まあ、あんなヘビメタなジャズを趣味のいいMotianがやるわけないか)。バンド全体の音は、バンド名から想像出来る様なメインストリームなジャズに近い。MingusやMonkの曲に加えて、Motianやバンドのメンバーの曲が違和感なく並んでいる。今回はECMからのリリースで、この手の音がカタログに無いECMを考えると、Eicherをだまくらかしたのか、それとも珍しくEicherがOKしたのか、とか、余計な事を考える。

ECMらしくないとか思ったと書いたけれど、やはり細部はECM的。幽玄な感じというか、クールで黒くない。それが現代性を感じさせつつも、若干ムーディーな感じでダルかったりもする。けど悪くない。というか結構聴いている。確実に夜の音