Friction

幼少の頃、小松辰雄という豪腕のピッチャーが好きで、そんな理由で地方に住んでいたにもかかわらず、YGじゃなくCDのファンになった(TVにコントロールされなかった)。そしてJリーグが発足した時、あのリネカーが入団するという理由でGEのサポーターになった。それにもかかわらず、何故か今まで縁が無くて名古屋に行った事が無い。仕事で何度か大阪には行っているけれど、名古屋は素通り。だけど金曜は、このチャンスを逃がしたら次の保証は無い状態だったので、意を決して名古屋行きの新幹線に乗った。自腹で新幹線に乗るのは久しぶりだったけれど、「Stonesの高いチケットを取ってコンサートを見たと思えばいい」と、自分に言い聞かせた。品川に新幹線が止まるようになってからは常に品川から乗っているのだけど、一度仕事で大阪に行った時、連れは東京駅から新幹線に乗り、オレは品川から新幹線に乗る予定だった事がある。その新幹線に合わせて品川駅に行ったオレは、新幹線口でギョッとした。「オレの乗る新幹線が時刻表に出てない」。連れが取った新幹線は、品川には止まらないやつだった・・・。仕方が無いので他の新幹線に振り替えてもらおうと思って窓口に行ったところ、「急いでもうすぐ来るやつに乗れば、新横浜で乗り換えられますよ」と言われ、久しぶりにベン・ジョンソン並のスタートダッシュを決めた事を思い出す。ところが今回の新幹線はその新横を通過。「あれ?、名古屋まで直通?」と思っていたらなんと熱海で止まる。b6665bf2.JPG02fd8924.JPG失礼かもしれないけれど、オレはあの熱海の寂れた情景が好きで、数年前に知り合い数人とドライブで熱海まで行った時、あの海岸の妙に整理された感じとフジヤホテルのヤバイ感じのハイブリッドさに大分打ちのめされた(今は持ち直しているらしいけど)。その後は名古屋まで一気かと思いきや、静岡、浜松と止まる。別にいいのだけど。生まれて初めて名古屋の地に降り立った感慨にふける時間も無く、日帰りするしか手段が無かったので最終のチケットをとりあえず押さえる。そしてカバンをロッカーに突っ込み、今回の目的地、「得三」のある今池に行く為に地下鉄を探す。まだ時間はあったので、JRビルの外に出て、ビルを見上げてみる。411f9383.JPGで、地下鉄に乗り込み今池駅へ(ここの駅の地下街もいい感じだったけれど、写真は撮れず)。駅の外に出て得三の場所をチェックし、時間の余裕があったのでその辺をうろついてみる。妙に中華系韓国系の料理屋が多い事に気が付く。上下ジャージ率高し。そしていい感じのブロックを発見。アグレッシヴな張り紙を発見。凄い楽しい。オレ、多分ニヤニヤしてたと思う。cb096c04.JPGそろそろ時間になので得三に向かい、その中に入る。分かっていたけど超満員。一気にビールを流し込んでライブが始まるのを待つ。予定より15分ほど遅れてReckと中村達也登場。歓声があがる。Frictionとしての演奏が始まる。



昨年、James Chance & the Contorsionsの前座がこの2人に大友良英を加えた編成で、Frictionの曲を演奏した。それがオレにとって初めてのFrictionのライブと言えるのだけど、その時はあくまでも3人のセッションという名目でFrictionとは名乗らなかった。その日のライブは結局、本編のContorsionsよりもこのセッションの方が頭に残っていて、もし今度Frictionが再始動される時は絶対にライブを見ると決めていた。今回、やっと再始動されたFrictionのライブは、この得三でのライブ以外アナウンスが無い。そのうち東京でも見れるのだろうけど、その保証が無い状態では今回のライブを見逃すわけにはいかなかった。普段、都内でもちょっと知らないところならば「テリトリーが・・・」などと戯言をぬかすのに、今回だけはそんな事を言っている場合じゃなかった。



演奏は『Zone Tripper』の楽曲を中心に行われていく。2人のFriction。だけど紛れも無くFriction。Reckはもしかしたらギターを弾くのかと思ったけど、やはりFrictionにおいてReckがベースを弾かないなんて事は成立しないわけで、そのへんはエフェクトの類を上手く使いながらギター的なアプローチの音を交えている。Contortionsの前座時は『Zone Tripper』からの曲のみだったけれど、今回は何曲か、1stの『Friction』や2nd『Skin Deep』、3rdの『Replicant Walk』の曲を交えている。オレはFrictionの曲は何でも好きだけど、特に好きな曲の1つが「Big-S」で、これが聴けたら嬉しいと思っていたら、その「Big-S」が演奏された。ギターが居ない為、あの曲のイメージをメタリックに変えていたスライドの音は聴けないけれど、それでも立てノリのイメージが強いFrictionにおいて横に揺れるこの曲はグルーヴが格別。そしてもう1曲、『Zone Tripper』の曲でありながらContortionsの前座時に何故かやらなかった「Zone Tripper」。あの時やらなかったのだから今回もやらないのかもしれないと思っていたら、「Zone Tripper」のイントロが、、、。多分この曲が一番盛り上がったと思う。前の方のガキどもはモッシュ状態。やっぱ皆、この曲を聴きたかったというのがわかる。圧倒的な疾走感の「Zone Tripper」は、これもギターのイントロのイメージの強い曲にもかかわらず、スピード感を失っていなかった。

どの曲もスタジオアルバムの録音よりも長めに編曲され、楽曲の力だけではなく演奏力を伴った音で、演奏を作り上げていた。Reckも達也もすでに只のロックミュージシャンという存在ではなく、多々のセッションに参加して、色んな音のやり取りをしてきたという自負があるはずで、だからこの2人しかいないという状態であっても、だからこそ見せることの出来るFrictionというものをライブで提示していた。




このまま名古屋に泊まって手羽先でも食べて、翌日に名古屋ドームでCD対YGでも見たかったけれど、そうもいかない事情もあり、汗だくの体で地下鉄に乗り込み、名古屋駅へ。到着時に購入した新幹線のチケットは最終、少し時間に余裕があったので、お土産コーナーを物色。そういえば名古屋って結構色々名物あるんだなと思いつつ、実はこの日に名古屋に行っていることを誰にも言ってなかったので、誰かにお土産を持っていく必要も無い事に気付き、自分用に手羽先を買って、新幹線用にアサヒ黒ラベル500mlを2本、サントリーの缶入り水割りを1本、ツマミに焼きササミとししゃもを購入し、新幹線に乗り込む。オレは新幹線で東京に戻る時、1人でビールを飲みながらiPodで音楽を聴きつつボーっとしているのが好きで、それが大阪からならば、もう1本か1.5本黒ラベルが加わる。その場合、ビールは窓際に置くのがベストで、だから何が何でも喫煙車の窓際をとる必要がある。今回、ライブ終演の時間も分からない状態で帰りのチケットを購入したのは、その席を確保する為。Friction見て、新幹線でビールを飲みつつ煙草を吹かしながら帰る。これが至福。いつもはチーカマをツマミとして購入するのだけど、今回は何故かチーカマが見当たらなかったので、代わりに購入した焼きササミが美味くてご満悦。この焼きササミ(確かアサヒだった)、お薦め。