Glenn Kotche

時々こちらの予想をはるかに上回る(覆す)作品というのがある。CDショップで何気に試聴して、予想外の音が出てきて、慌てて購入してしまう。こういう事は度々起きるわけではなくて、年に1〜2回程度の事。最近そういう事があり、それがGlenn Kotcheの『Mobile』。Glenn Kotcheといえば、これも最近購入したばかりのLoose Furや、パーマネントとしてはWilcoのドラムなわけで、だからそのソロアルバムはオルタナ・カントリー〜ロック的な音だろうと思った。ところが『Mobile』は、1曲目にSteve Reichの「Clapping Music Variations」をカバーしていて、さらに聴き進むにつれてどんどんこの作品に引き込まれていった。ミニマルを基調とし、それにKotcheが影響を受けたドラム・パーカッションや打ち込み的な音をすり込み、さらに、現代のエレクトリックなインプロの中で培われてきた音をも取り込んでいる。まだ数回聴いただけでこんな事を言うのは早計かもしれないけれど、今この時点でオレは、この作品を傑作だと思っている。