J Dilla (aka Jay Dee)

Madlibの新作と並んでディスプレイされていたのが、J Dilla (aka Jay Dee) の新作『Donuts』。J DillaMadlibと同様にサンプリング主体でのトラックメイクを行い、プロデュース業もこなす。その新作の『Donuts』は、Madlibの作品と同様、1分台の短いトラックを詰め込んだもの。レーベルも同じStones Throw。これは多分、同じような意図で作成されたものなのだろう。もともと傾向の似ている(らしい)2人だけに、Madlibの『The Beat Konducta Vol.1-2』と続けて聴いても違和感が無いというか、違いが分かりにくい(ヒップホップに詳しい連中ならば違いが分かるのだろうけど)。あえて言えば、若干J Dillaの音の方が派手な印象。派手といってもあくまでも根底にソウルを感じる音で、決して今のメジャーシーンにあるような、ガツガツしたような音ではない。The RootsやCommonを好むオレのような趣味の持ち主に向いている音。




J Dillaの名前は知っていたけれど、いままであまり意識して彼の音を聴いていなかった。だけど何気にこの人の音も結構聴いていて、A Tribe Called Questの『The Love Movement』にQ-Tipの『Amplified』、Slum Villageの『Fantastic Vol2』、Madlibとの共演のJaylibJay Dee名義での『Weilome 2 Detroit』、そしてCommonのアルバムへの参加等、J Dillaを意識して購入したものではないものでJ Dillaの音を聴いていた(『Weilome 2 Detroit』はJ Dillaというより、bbeレーベルの一連のプロデューサーシリーズの作品という事で購入)。だからJ Dillaらしい音という事を意識した事は無いのだけど、この新作、そのポップを見て唖然とした。そこにはRIP J Dillaと書いてあり、2/10に闘病の末、32歳という若さで他界していた。

峠を越したわけではない、現在進行形のミュージシャンの訃報というのは、特に注目していたわけではなくても、やはり胸が痛む。そういう事を知ってしまってから音を聴くというのは正確な判断は出来ないかもしれないけれど、でも、彼の関わってきた作品を好んで耳にしていたという事実は、意識せずとも、オレは彼の音を好んでいたという事なのだろう。今後、彼の残した作品のいくらかが発表されると思うけど、そこに本人がいないという事は残念な事。



生前最後のアルバムとなった『Donuts』のジャケットは、目が帽子で隠れた顔に白い歯を見せた笑顔の写真。



R.I.P. J Dilla