Madlib

気が付くとなんとなくそのミュージシャンの音を聴いている(追っている)というパターンが時々ある。このMadlibもそれにあてはまる人で、もう、あまりヒップホップを聴かなくなりつつあるオレも、何故かMadlib関連の音は結構聴いている。昨年も出ていたQuasimotoや、ジャズ系インストバンドYesterdays New QuintetDJ Rels、そしてMF DoofやDudley Perkins等のプロデュース作品等々。

新作の『The Beat Konducta Vol.1-2』を店頭で見つけたときは、それを手に取り、ポップを見てちょっと驚いた。Madlibは個人名義ではミックスものしか出してないので、これもそういうものだろうと思っていたら、今回は珍しく自ら作成したトラックで構成されたアルバムらしい。ここでそういうものを出してくるという事は、いままでのMadlibの集大成か?とか考えつつ、この『The Beat Konducta Vol.1-2』を聴く。

何故かオレの肩に力が入った状態で聴きだしたけど、これ、短い曲(主に1分台の曲)が35曲入ったもので、ブレイクビーツ集とかループネタ州都までは言わないけれど、なんとなくそういうものを思わせる作品で、集大成とかそういう大げさな物ではなかった。ここに入っているトラックの為に録られた歌やラップは無く、ほぼサンプリングで作られている(と思う)。調べてみるとこれは、昨年の夏にアナログだけで出されていたBeat KonductaというMadlibの変名プロジェクトをCD化したものだった。それをCD化の際、わかりやすくするためにMadlib名義という形にしたのだろう。それにしても、またしても変名プロジェクトだったか。

じゃあこれがツマラナイかというとそうでもなく、Madlibらしい質感のトラックが並び、オリジナル音源によるメガミックスという感じで聴いている。これだけのアイディアを1枚のCDに押し込んであるという事を考えれば、実はかなり密度の濃い作品。だからといって息苦しいわけでもなく、短いながらもキチンと構成しているものもあるし、単にアイディアを放り込んだものというわけではない。一見なんでもないようなトラックでもそこをサンプリングしたセンスが、Madlibという才能が、特別なものだという事を認識させる。