Andrew Hill

Andrew Hillは、60年代のBlue Noteが最も先鋭的だった時代に作品を残していて、その中にはDolphyが客演した『Point of Departure』という評価の高い音も含まれている。だけど、Blue Note期を過ぎて以降は、その活動が取り上げられる事が少なくなった。それをフォローするように70年代には、日本のレコード会社がHillのアルバムを出していたりして、その頃の日本のレコード会社には、気骨といえるものがあった事がわかる。その後89年と90年にHillはBlue Noteからアルバムを出していたけれど、Blue Noteへの復帰は短い時間でしかなかった。それでもその後もHillは地味ながらも活動を続けていて、時々知らないレーベルからアルバムを出している。

そして今回、いきなりBlue NoteからHillの新作が出ていた。レコファンでジャズのコーナーを適当に見ていて、Hillの仕切りのCDが正面を向いてディスプレイされていたのでとりあえず手にとって見た。そのCDを見るとBlue Noteからのものである事が分かったけれど、昔の未発表音源でも出したのかと思ってチェックすると、新録であることがわかった。当然購入したかったのだけど、CCCDであることに気付き帰宅してamazon.co.jpをチェック。特にCCCDとの但し書きも無かったので、即オーダー。そして今日、その『Time Lines』が無事に届いて、今、やるべき事もやらずに聴いている。

特に変わった編成でもなく、現代の先鋭的な音と比べれば、一聴してジャズという言葉が出るような音。だけど定型の音のようで何かが違っていて、その間の音がHillの個性の音だと思う。




個人的に『Point of Departure』はDolphyの『Out to Lunch』と並ぶ傑作だと思う。ここにはDolphyのマジックと、Hillの先鋭的な音が刻まれていて、あの時代しか出せない音がある。