Senti Toy

Senti ToyはNYダウンタウンシーンのマルチリード奏者Henry Threadgillの細君で、インド(ナガランド)の首狩族の末裔らしい。Henryといえば娘のPyeng Threadgillも歌手をやっていて、Robert Johsonのカバー集『Sweet Home: The Music of Robert Johnson』はオレも持っていて、ブルーズのカバー集としてはなかなか楽しめる作品だった(Cassandra Wilsonの影響を感じる)。

だけれどSentiの『How Many Stories Do You Read on My Face?』はそういう音とは違うイメージの音楽をやっていて、周りを固めるのはNYダウンタウン・シーンの面々なのだけど、特に屈折したものは感じない。その生立ちを考えると、なにかしらインドの音楽の影響を受けていそうだけど、本人が「ナガランドの音楽を聴く事は稀」と語っているように、そういった影響は曲そのものには見出せない(それらしい演出はあるけど)。プロデュースがKip HanrahanのエンジニアのDick Kondasという事が大きいのか、アコースティックな感触で高度に洗練された音。Sentiは少し硬質なところも感じるけれど、舌足らずで甘めの声(誰かに似てるんだけどなあ・・・)で、それが好みの分かれるところだと思う。何度か繰り返し聴いてみたけれど、これは正統に、優れたポップスとして聴く方がいいのだろうと思う。