Chocolate Genius Inc

ミュージック・マガジン』という音楽誌があって、これをオレは高校生の頃からほぼ毎月読んでいる。某巨大掲示板では叩きにあっている雑誌だけど、ここで取り上げている各種の音楽の幅は、その他の雑誌では得られないものが多く、ネットがこれだけ普及していても、これに代替するものがオレには見つけきれない。但し、ここ数年のこの雑誌の内容はあまり良いと言えるものではなく、一部のライターと、ディスク・レビューぐらいしか使えるものはない。だけど、目下のところ最新号の3月号は、特集がNirvanaという事もあり、久々に丸々読んだ気がする。それと、その3月号のディスクレビューを読んで購入したものが多いので、この後のここに書く何枚かは、そのレビューを読んでしまった後の購入になるため、受け売りや引用があるという事を書いておきたい。

それでまず、このChocolate Genius Inc。元々はChocolate Geniusという名義で2枚のアルバムを出しているMarc Anthony ThompsonというNYのダウンタウンで活動しているミュージシャン。その新作『Black Yankee Rock』は、今までと同様にR&Bマナーに根ざした音作り。ただし、NYのダウンタウンというところが大きなミソで、一般的なR&Bとは一線も二線も画している。MMのレビューと全く重なるけれど、やはりこれはMe'Shell Ndegéocelloと同一の質感を思い浮かべてもらうしかない。ダーク且つビターな音で、音響的なものも内包してる。だけどそっけないわけではなく、甘さは少なくても官能的な部分を感じることは難しくない。前作の『God Music』もかなり優れた音だったけれど、それから4年経っての新作は若干温度が上がり、キャッチーな部分が増えた。この音楽の聴き手が増えるにはいい機会のはず。