Green Zone

以前にもここに書いたけど、元Ground Zeroのベーシストだった加藤英樹のユニットGreen Zoneは、そのGround Zeroのリーダーだった大友良英とドラムの植村昌弘の3人で編成されている。そのGreen Zoneのアルバム『Green Zone』は、曲のタイトルやそのユニット名から政治的な意味合いの濃いものであることが分かる。そしてそこにある音は、そういう事が念頭にある為か、強い意思と、得体の知れない重みを感じるアルバムだった。

加藤英樹は15年前からNYに移住しているらしく、だからGreen Zoneというユニットのライブを見ることは出来ないと思っていたけれど、加藤英樹が来日して、Green Zoneの国内ツアーを現在行っていて、それを見る為にピットインに行った。

客の入りはまあまあといったところだろうか、大友がいるユニットはある程度の集客が計算できる。予定より10分ほど遅れてライブが始まる。1stセットはアルバムの曲を数曲演奏。大友の手元は見えなかったのだけど、加藤は特に楽器を変える事もなく、一つのベースで演奏していた。そのベースは、恐らくエレアコ構造で、多分フレットレス。フレットレスじゃないかと気付いたのは、アンコールの時だったのだけど。

30分以上の長い休憩を挟んで、2ndはセットをフルに使っての新曲。およそ40分ほどの演奏。そしてアンコールで、アルバムの曲を10分ちょいぐらいで演奏。

と、淡々とタイムテーブルを書いたけど、演奏はかなりヘヴィーなものだった。まず耳に付くのは、上物である大友のギター。ワウを効かせながら音を張り上げて行き、サイケにも通ずるような音を撒き散らす。植村のドラムは端正且つパワフルで、上がった状態でもどこかクールな感触があった。そしてベースの加藤は、自らのユニットであるにもかかわらず、特に派手な演奏をしたりしない。太い、低い音で、大友のギターの対極を弾く。このコントラストは、CDよりもはるかにライブの方が分かりやすい。

一番印象的だった曲は2ndの長い曲だけど、1stやアンコールのCDに入っている曲も良い演奏だった。でもやっぱり、2ndの演奏が一番良かったと思う。大友が結構長めのソロでラインを弾き、そこに音が加わるのかと思ったら、加藤が後を引き受けソロてベースを弾く。そこから徐々に植村のドラムが音を入れてきて、大友が少しずつ音を重ねる。そのあとはゆっくりと頂点まで上がって行き、そこで終わるのではなく、音数を減らしながらエンディングに到達。この流れがかなり良くて、大げさな仕掛けのある曲じゃないのに(まあ、どの曲もそうだけど)、曲の長さに必然性が感じられた。