Matthew Shipp

AtomicのCDを物色しに行ってMatthew Shippの新譜を発見し、思わず「おお」と、声を出してしまった・・・。

Matthew Shippは、個人的に藤井郷子と同じぐらい好きなピアニスト。そのShippの新作『One』はThirsty EarのThe Blue Seriesからの発表。このThe Blue Seriesも最近はあまり新作が出ていなかったので、このシリーズも完結したのかと思っていたところだった。

その新作『One』は、Matthew Shippによるソロでの演奏が収録されている。これまでにもShippはソロ作品を出しているので特に目新しいという風には思わなかったけれど、The Blue Seriesはジャズ+エレクトリックという作品が多かったので、このスタイルでの新作は意外だった。

いつもの様に打楽器的なアプローチでの音もあるけれど、以前から時折顔を覗かせていた、全体的に少しクラシック的な音というか曲想というか、そういうものを感じる。でも、「The Encounter」は、なんとなく明田川荘之の書く曲のメロディーと似たものを感じるし、「IEOU」の蠢くような音の羅列は、やはりフリージャズのシーンに長く深く関わってきたからこそ、と思える音。そういういくつものスタイルを短めの曲で表現し、アルバム全体を40分程度に抑えているので、このアルバムを聴いていると、濃密な時間というものを感じることが出来る。