This Heat

やっとの事で、噂のThis Heatの1st、『This Heat』がリマスターされて再発された。

2002年に2ndの『Deceit』がリマスターされて再発された時に、翌年『This Heat』も再発予定というアナウンスがあったにもかかわらず、その話はこじれて立消えに。『This Heat』は大分前にCD化されて以降、そのCDもとっくに廃盤状態で、だから1stのリマスター再発というのは大きな期待だった。もうこれはダメかもしれないと思いながら、わずかな望みを持ちつつ再発の希望を持ち続けていたら、この度とうとう再発された。

国内仕様盤の発売は今日という事で、ディスク・ユニオンで無事購入。ReR盤のデジパック仕様かユニオンの紙ジャケ仕様か悩んだけど、最近デジパックの爪の破損が多いので、今回は紙ジャケを選んだ。



This Heatというバンドは、楽器による演奏と、テープを使った音をライブでも混ぜ合わせて演奏していたバンドで、簡単に言えばアヴァン系ロックのはしりの一つだと思う。ロンドン・パンクが世の中を席巻している最中に結成されて、だからパンクのアティテュードを持ちながらも、アナーキーな言葉では無く、音によってメインストリートに反逆してみせたという印象がある。実際に『This Heat』を聴いたのは今回が初めてというわけではないので、そんなに感動したりするわけではないけれど、やはり音が良くなっているというのは、細部で使われている音の印象が取って代わるという事もあって、改めてその音にひきつけられる部分は多い。

今『This Heat』を聴いて衝撃的に感じるという事は無いと思うけれど、現在のアヴァン系の音には無い息吹が感じられる。昨年のBlack Diceのアルバムがイマイチだった事もあって、テクノロジーが進化しすぎた中で出てくる音が、実際には没個性化していると感じる事も多い。アヴァンであるという事に満足してしまっているバンドの音に比べて、This Heatの音は極めて個性的だと思う。