藤井郷子カルテット

昨夜に引き続き藤井郷子のライブ。しかも、個人的な大本命のカルテットという事で、当然のように新宿ピットインに向かう。

オケは少々人が少なくても、カルテットならもっと人が入るだろうと予測しながらピットインに向かう。すると既に20人近い人が集まっていて、「今日は満員か?」と、ちょっと嬉しい気持ちになる。が、、、開場後もあまり人が入ってこない。結局オケよりも少ない観客で、唖然としてしまった。

気を取り直して。まあ今更、このグループについてガタガタいう事は無いのだけれど。

完璧なバッキングを聴かせたかと思えば、ソロの瞬間は独壇場と化す早川岳晴のベース。ミドルテンポの曲でもそうとは思えない手数を叩きながらも、決して演奏を壊さない吉田達也のドラム。Cecil Taylorのような強烈にパーカッシヴな音を出しながら、繊細さも忘れない藤井郷子。時には間違えながら(間違えたって藤井郷子がMCで言った)、クールに音を入れてくる田村夏樹。藤井郷子の書く曲は難曲にもかかわらず、完全(時には不完全)に同期してしまったかのようにあの強烈なリフを奏でる瞬間は、他のグループでは得られない印象を残す。

今夜の演奏で一つ触れておきたいのは、藤井郷子のピアノの音の選び方。2ndセット最後の曲が昨夜のオケでもやった新曲の「Betty's Waltz」という曲で、本人曰く「冬ソナ並の美しい曲」と言うほどのメロディアスな曲。だけどここで彼女が弾いたコードは普通に甘美な音ではなく、Monkほど極端ではないにしてもそれに近いコード音だった。ひたすら甘く流れてもいいようなメロディーを持ちながらも、甘くない音を混ぜる事によってそのメロディーがより惹き立つという、美しい演奏だった。