Underground Resistance

色んな事において折れないという事は難しくて、自分の信念みたいなのものであっても、ある種のものに対してはそれを折り曲げてしまうしかないという事は多々ある。その度に元に戻そうとするのだけど、何度も繰り返していると戻らなくなったり、戻す事がめんどくさくなるので曲がったままにしておくようになる。周りを見ても、貫くという態度を持てているヤツはいなくて、まあ、そんなものだろうと思ったりする。だけど、Derek Baileyの選んだ場所をみて、彼が自分のやり方を貫くという姿を見せてくれたことは、オレにとって彼の音だけではなく、その生き方までもが一つの支柱になっていた。だから彼について書きたい事はたくさんあるのだけど、今はまだそんな気持ちになれない。そんな時に、Baileyと同じように一つの信念を貫いている男の新しい音を見つけて、まだ彼がいる事を思い出した。



名前を見ただけで、Underground Resistanceという連中の信念みたいなものは伝わると思う。URは元々Mad MikeJeff Millsによるユニットで、現在ではデトロイト・テクノと呼ばれるシーンの中核を担う集団。NYに行ってしまったJeff Millsとは違い、Mad Mikeデトロイトに居続ける事、そして、くだらない事に決して迎合しないという信念を貫き通す事によって、テクノを超えたシンボリックな存在になっている。いまでは音楽ファンの間では悪名高き存在となったソニーという企業があるけど、URファンはその前からソニーに対しては快く思っていなかった。UR vs ソニーというちょっと有名な話、簡単に言えば、デトロイトアンダーグラウンドであり続けるUR絡みの曲(DJ Rolandoの「Jaguar」)を、ドイツのソニーがパクったという事があった。殆ど個人対大企業みたいな図式だったにもかかわらず、引くことを知らないURはこの戦いに勝利して、貫き通すという事の凄さを提示してみせた(UR及びこのファック・ソニー事件は、野田努の名著『ブラック・マシン・ミュージック』に詳しいので、興味のある方は一度目を通して下さい)。

そのURの新作『Interstellar Fugitives 2』が突然発売されていて、ちょっとビックリしながらも、当然のように購入。あまりCDというメディアを活用していないURらしく、前作『Interstellar Fugitives』から7年たっての続編という事になる。そして驚くことにこの『Interstellar Fugitives 2』は日本で録音されたもので、URがダサい国の代表みたいな日本に対してある種のリスペクトを持っているという事実にマジメに感動したりした。この『Interstellar Fugitives 2』ではっきりと確信出来たのは、現在のMad MikeとURはテクノという枠の中にいるわけではなく、エレクトロニカや四つ打ちのベースを持ちつつも、新しい、デトロイト・ソウルとでもいうべきところにいるという事。




このタイミングでこの音が出てきた事に出来すぎな感もあるけど、事実を変える必要は無い。

当分はURのダンスビートがオレの音楽を聴く切っ掛けになる。



DIY.







ピース。