Richie Hawtin

Richie HawtinがPlastikman名義で出した音を初めて聴いた時、すぐにその音に魅了された。骨組みだけの音、余計なものを最初から差し引いた状態で出てきたその音は、テクノというカテゴリーにおいて、初めから異質な音だった。

そのRichie Hawtinの新作『DE9: Transitions』はMixDVDという形態。オレはCDとの2枚組みを購入して、DVDのROM部分に入っているMP3を聴いている。本来はDVDを5.1chサラウンドで聴くというコンセプトで作られた作品らしいけど、(オレのような)大した装置の無い人向けのCDと、(オレのような)ポータブル・プレイヤー使いの為のMP3まで用意したらしい。DVDに収められているのは96分のノンストップミックスで、だからCDにはそのショートバージョンしか収められていない。DVD以外でそのノンストップを味わうなら、MP3という選択肢が正しいという、ややこしい構成になっている。

某Blogによるとこのミックスには180以上の曲が使われているらしく、それは自身の音からそれ以外のものまで、今までと同じようにRichie Hawtinが解体してつなぎ合わせているのだろう。こうやってミックスされたものを聴いていても、不思議な事にちゃんとRichie Hawtinらしい音になる。それは彼がトラックを作成する事と、DJとして曲をつなぐ事に違いを感じていないという事なのかもしれない。

ミックスDVD(CD)を作成するという事を、フロアで曲をつないでいくDJプレイとは別に考えて、作品として世に問うという姿にRichie Hawtinという男の資質が表れている(憶測)。この『DE9: Transitions』を聴いて、Madという冠が最も似合うのは、Richie Hawtinだろうと思った。