Elliott Sharp

11日のライブが良かったので、勢いにまかせて今日(12/13)は公園通りクラシックスで、八木美知依とのデュオライブを見てきた。

次はいつ来日なのかわからないので、この機会を・・・。

今回はじめて行ったクラシックスは、ライブハウスというよりイベントスペースといった趣で、だからステージも存在してない。でも雰囲気は良く、好印象。50人ぐらいが座れるキャパという事だけど、オレが入ったときには10人にも満たない状態(最終的には30人ぐらいだったと思う)。またしても「もう少し来いよ」と思う。

E#も八木美知依も思いっきり見てやろうと思い、今回は珍しく前のほうに座った。



定刻は19:30だったと思うけど、恐らく10分以上遅れて1stセットのスタート。

E#の出す音に八木美知依が反応するような感じで、イニシアチブはE#にある(メインだから当たり前か)。E#はピットインで見たときのように、過激というよりも情景を作っていくかのような演奏。Power Bookを使いながらもエレクトリックな音を多用せず、ギターの音を上手くコントロールしている。E#の使っているギターは恐らく特注で、ボディが変形していてヘッドレスかつ七弦。しかもエレアコ構造になっていると思うのだけど、結構癖のある音。変形しているボディは、座って演奏するには向いた形状。八木美知依は二十弦と十七弦の箏を用意していて、1stセットは二十弦だけを使っていた。八木美知依は時折スプーンのようなものを挟んだりして、プリペアド状態の音を使ったりしていたけど、こちらもあまり過激な音には向かわない。お互いに上手く反応していくさまは、何度も共演を重ねているように見えた。

1stセットは20分 / 30分 / 20分ぐらいの演奏だったのだけど、1stセットが一時間以上というのは珍しいので「もしかして2nd無し?」と、一瞬思ったけど、八木美知依のMCで休憩になった。

2ndで八木美知依は十七弦に移り、演奏のスタートも八木美知依が行う。そのフレージングと音色が日本らしさを伴ったもので、これにE#が同反応するのかと思っていたら、ブルージーな音とフレーズを使う。このベクトルの違いがなかなかいい。演奏が進むにつれE#に主導権が移っていくのだけど、八木美知依はミニマルなフレージングでバッキングしていて、これもなかなかはまっていた。

次の演奏も八木美知依からスタートで、ここでも日本的なフレージングと音色で始める。E#は今度はブルージーな入りではなく、割とアグレッシブな対応(だったと思う。記憶が曖昧。)。ここでも徐々にE#に主導権は移るのだけど、八木美知依が前に出るときは、E#は音数を減らし、必要以上の自己主張はしない。

二曲の演奏が終わった時点で、恐らく予定の時間は過ぎていたと思うけど、「急いでちょっとだけ」というような事をE#が言って、短めの演奏をもう一曲やってくれた。11日もそうだったけど、E#は、演奏する時間があれば、それを有効に活かしたいという、ミュージシャンの鏡のような人だった。




11日につづいて今回も良い演奏だった。ライブを見るまでは正直言って、E#がここまでアーティスティックな音を使うとは思っていなかった。ついこの間も書いたけど、こういう演奏が聴けるという事は、本当に幸せな事だと思う。しかし困ったのは、オレはこれから、E#の音をこれまで以上に注意深く追っていく事になるのは間違いないという事。優れたミュージシャンを知っていくのは楽しいことだけど、さすがに先立つものが・・・。