Terry Riley

という事でTerry Rileyのコンサート二日目。もちろん今日は迷わず、池袋駅から最短距離で明日館に到着。初日も今日も、多分満員だったと思う。明日館講堂は一応定員270名と書いてあって、そんなに数が入れるわけではない。コンサートと言っても、ライブハウス感覚の大きさ。演奏者との距離感は、ジャズのライブハウスでの距離感に近い。そんな中での演奏なので、咳払い一つがノイズになってしまう。ちょっと不思議だったのが、昨日と今日で、客層が若干違う感じがした事。昨日は全体的に大人というか、この手の音をよく知っている感じの客層だったけど、今日は明らかにサブカル小僧みたいな連中がチラホラ。まあ、いいんだけどさ。



コンサートは、初日と同じくDavid Tanenbaumのソロギターで始まる。流石に初日のようにあっけにとられたりはしなかったけど、やはりなんていうか、どうなってるんだろ、あの指。初日の前半は、ノーマルなクラシックギター(弦はスチール?)を使っていたけど、今日はナショナル・スチールギターというギターで演奏。実はこのギター、今回のコンサートで初めて本物を見た。ブリキっぽい感じがカッコいい。

David Tanenbaumが二曲ほど演奏して、Terry Rileyの登場。ソロで三曲ほど演奏。初日は一、二曲で入れ替わっていたのだけど、今日はプログラムの都合上、そういう出番になったのだと思う。実は今日の曲は、初日の曲ほどカッコイイものは少なかった。ビートニクス詩人の詩をモチーフにした曲を演奏という事で、Terry Riley自身の歌が入った曲がいくつかあり、そういう曲はミニマルなものとはちょっと違ったものになってしまうので、あの、シーツ・オブ・サウンド的な展開がない。さらに、同じ調子の曲が続いてしまうので、ちょっと構成的にはイマイチだったと思う。それともう一つ、今日は初日と違って、休憩を入れない形に急遽変わってしまい、そういった意味でのペースチェンジが無かった事も影響している。

Terry Rileyのソロ演奏の後、David Tanenbaumが登場してデュオでの演奏が始まる。Terry Rileyは電子ピアノ(シンセサイザー?)に切り替え、三曲ほど続けて演奏。ここまで聴いて、さすがに初日のようなインパクトを今日は貰えないのかもしれないと思った。そして本日最後の演奏。ここで日本人の演奏者が三人登場する。打楽器の高田みどりは、この手の音楽では名の知れた人なので、これはちょっと得した気分。だけど笙の石川高と箏の西陽子は、オレの不勉強で初めて聞く名前。どんな事になってしまうのだろうと、期待と不安をもてあましながら、セッティングの様子を見ていた。琴は、通常の琴とそれより大きな琴を使ったので、多分それは十七弦か二十弦。笙は、「これ、”しょう”って読むんだよな?」と言う状態で、なんとなくどんな楽器かはわかっているけど、まるで期待してない。そんな状態で演奏が始まる。演奏のスタートは笙の音。和楽器特有の音かと思ったら、この音がなんとなくオルガンを思わせる音で、予想と違う展開。その音にあわせて、打楽器の音が徐々に重なり、ピアノ、ギターと続いていく。打楽器って、ジャズやロックで言えば、当たり前のようにリズム楽器として登場してくる。ところがここでの打楽器は、効果音的に使われる音で、演奏のグルーヴはTerry Rileyのピアノ。そしてこの最後の曲は、オレが待ち望んでいたカッコいいフレーズを持っていて、一気に演奏に引き込まれる。若干琴の音が拾えないと思っていたら、音数が減り、琴の音が前面に出てくる展開。ここで聴かれる琴の音は、八木美知依の琴と同質のもので、アグレッシブな音がガツガツくる。カッコいい。「オレはまた、琴奏者に惹かれてしまうんだろうか?」と、余計な事が頭をよぎる。そしてあの笙も、全編にわたって音を出すわけではないけど、時々ロングトーンように持って来る音が、和楽器と言うより、エレクトリック・ミュージックで使われる効果音のように聴こえて、少ない登場にもかかわらず、音を出せば耳が自然とその音を拾っていた。

最後の演奏は、20分を越える長さだったにもかかわらず、ホントにあっという間に終わってしまった。やはり耳をひきつける演奏というのは、時間の進み方さえもマジックにかけてしまうのかもしれない。



で、帰ってきて、とりあえず西陽子ついて検索。やっぱり八木美知依とリンクしてた。しかも過去に参加した作品を見てると、オレ、このうちの三枚持ってる。ホントは知ってたわけか・・・、うーん・・・。58f289f5.jpg

実は昨日も買ったのだけど、今日も物販でCDを購入。物販のお姉さんが、ちょっと驚くような美形(ちょっとコンサバな感じ)だったからという事ではない。



はず。