James Chance

7月のライブが今でも時々頭をよぎる中、19年ぶりの新作『Get Down and Dirty!』が発表された。

今回は、ContortionsでもBlacksでもなく、Terminal Cityという、なんとなく頼りなさげな名前のバンドがバックを務めている。一応、事前情報があったので、大体どんな音か想像はついていたけど、これ、臆面も無くジャズ。しかもJames Chance、歌ってる。あの声でジャズを歌ってる。コンテンポラリーなわけでもなく、才気溢れるアドリブがあるわけでもない。時々、ニューオリンズ的な雰囲気さえ漂わせてしまう、牧歌的な音すらある。でも何故か、よくわからないけど、納得してしまう。これ、James Chanceにしか作れない、何かが入ってる。まあ、それはオレの思い過ごしだろうけど、そう錯覚させる何かは確実にある。



一つ言っておきたいのは、これ、このアルバムからJames Chanceを聴き出してはイケナイという事。James Chanceを聴くなら、やはり『Buy』あたりからにするべきで、このアルバムはJames Chanceの現在地点かもしれないけれど、パブリックなイメージのJames Chanceでは無い。多分このアルバムは、いくらかJames Chanceの音を聴いてきた連中が、「ふうん」とか思いながら聴くのがあっている気がする。