Thelonious Monk

ジャズファンの間ではちょっとした話題になっている、Thelonious MonkのグループにJohn Coltraneが参加した時の未発表音源、『Thelonious Monk Quartet with John Coltrane at Carnegie Hall』のUS盤を、amazon.co.jpから購入。この組み合わせで、10年ぐらい前にもFive Spotでのライブ盤が出て話題になった事がある。この時期は、John Coltraneが飛躍的に成長するきっかけとなったと言われる時期で、John Coltraneは既にMiles Davisのグループに参加していたのだけど、それよりもThelonious Monkのグループに短期間参加していた事の方が重要な部分があると言われている。特にFive Spotでのライブは伝説的なライブと言われていて、その公式な録音が無い事が悔やまれていた。

その録音が発見され、CD化されたのが10年ぐらい前のFive Spotのライブ盤なのだけど、これが音質が悪くて、あまり聴き返す事も無く手放してしまった。そして今回発売されたCarnegie Hallでのライブ盤は、Five Spotのような伝説的なものではないけれど、音質は酷いものではないし、選曲もオレの好きな曲が多くて、思ったより楽しめるものだった。

この時期のJohn Coltraneは、後年のImpluse期のような壮絶かつスピリチュアルな演奏者ではないけれど、だからこそ素直な音が楽しめる部分がある。ここでのソロを聴けば、Miles Davisのグループに参加したての頃に言われた「ヘタなテナー奏者」というレッテルは、既に的外れなものになっていて、この時点でも十分に刺激的なソロをとる事の出来る演奏者に成長している事がわかる。但し注意して欲しいのは、このCDを聴くのはThelonious Monk、或いはJohn Coltraneをある程度聴き込んでからにするべきだという事。どちらも2〜3枚ぐらいの音源しか聴いてない状態で、話題になっているという理由でこれに手を出すのは何か違う。Thelonious MonkJohn Coltraneも、結構な枚数のアルバムが出ているので、そっちを聴いてからでも十分に間に合う。

これのCDは、一人のサックス奏者が、成長という階段を上った時の、その内の一歩の記録を盗み見たものにすぎないのだから。