Jeff Buckley

『Stanley Road』のDeluxe Editionをみてて、なんとなく他のDeluxe EditionとかLegacy Editionを見てて、「あ、あれ、まだ買ってないや」と気付いて、今日もそそくさとレコファンに寄って、Jeff Buckleyの『Grace』のLEを購入。それを手にしながら、「DEやLEになる前のオリジナルを知らないやつらは、余計にCDを買わずに済むのだから得だよなー」って思った。 でもよく考えてみると、オレが持ってるDEやLEって、元々オリジナルの形態の頃から聴いてたものばかりで、結局DEやLEは、そのアルバムが好きだったやつが買うものなのかもしれない。だから、初めてそのアルバムを聴く時に、DEやLEを購入する事はあまり薦められない。



肝心のJeff Buckleyの『Grace』、このアルバムはJeff Buckleyが生前に唯一発表したアルバム。それ以前に『Live at Sine-E』という4曲入りのEPを発表しているけど、アルバムは『Grace』だけ。このアルバムが発表された頃のロックシーンというのは、色んなスタイルのものが入り乱れているような状態で、その時に出てきたこのアルバムを、オレはあまり気に入ってなかった。多分、ハードな音しか受け付けられない様な状態だったと思う。だから『Grace』は軟弱な音に聴こえた。それでも何度か聴きかえしているうちに、これはそういう尺度で聴くような音楽じゃなくて、もっと違う、ある種の新しいロックの姿なのかもしれないと思えるようになった。そうやって自分の中で感じる事が出来るようになった頃、Jeff Buckleyは2ndアルバムを出す事も無く消え去ってしまう。

その後、Jeff Buckley本人がお蔵入りにした2ndが発表されたり、何種類かのライブ盤が陽の目を見たけど、やはりオレにとってはJeff Buckleyは、『Grace』。ここにある危うくて儚くて美しい声は、最近ならAntonyにその影を見ることが出来るけど、やはりJeff Buckleyだけの声だと思う。このアルバムは、90年代の名盤みたいなものに選ばれる事は少ないかもしれないけれど、グランジ、ミクスチャー、インダストリアルといったあの時代のハードな音の間で、唯一無二の音を鳴らしている。



と、書いておきながらなんだけど、『Live at Sine-E』のLEというものがあって、これがとてつもなく良い。オリジナルの4曲がLEでは32曲に拡張されていて、4曲では気付かなかった、Jeff Buckleyの凄さを堪能できる。なのでJeff Buckleyに関しては、『Grace』と『Live at Sine-E』のLEは必聴。