Sonny Rollins

Sonny Rollinsの久しぶりのアルバム『Without a Song』は、ライブアルバム。サブタイトルとして、「The 9/11 Concert」と書いてあるが、別にあの日に行ったライブではない。あの9.11の後、ボストンで9/15に行ったライブ演奏。それに、あえて「The 9/11 Concert」とつけるところに、不幸すらも商売にしてしまおうというアメリカ人の魂胆が見え隠れして、正直、気分の悪い代物。



決して悪いアルバムではない。でも、これは、現在のジャズシーンの先端とは関係の無いところに存在している音であることも間違いないと思う。だからダメというつもりは無いけれど、だから何なのだという気持ちもある。オレはSonny Rollinsというサックス吹きは好きだし、何枚もアルバムを持っていて楽しんでいるけど、このアルバムのサブタイトルによって、この音を素直に楽しむ事が出来ない。要するに、複雑な気持ちになった。



そして11月、Sonny Rollinsは日本での最後のツアーを行う。細君を亡くして、気力が無くなった為に音楽業界からの引退を考えているというのがその理由らしい。思えば、Johnny Cashが細君を亡くした後その後を追うように力尽き、Robert Quineが、同じような状態で後追い自殺をしてしまうという悲しい出来事があった事を考えれば、今のSonny Rollinsの精神状態もマトモではないのだろう。その状態であってもコンサートを行おうとする彼を尊敬する。

オレはまだ彼の音に生で接していないから、これが最後の機会になるのだけれど、今の複雑な気持ちは二の足を踏ませてしまう。