Charlie Haden (Liberation Music Orchestra)

Charlie Hadenの新譜『Not in Our Name』がLMO名義で発表された。あの1stと同じ構図のジャケットで、「パロってるのか?」と思わせる。収録曲をみると、意外にも「This is Not America」が。「This is Not America」は80年代にDavid Bowieが歌ってヒットさせた曲で、オレはこの曲を聴いて、David Bowieが好きになったのだった。今回のLMOのメンバーはCharlie HadenCarla Bley以外は全然知らなくて、オレの不勉強ぶりが露呈される事になるけど、逆にここから名前を覚える事になるミュージシャンが出て来て欲しい。



今回のアルバムの最大の聴き所は、「America the Beautiful」を核としたメドレーだと思う。さらにここから「Amazing Grace」、「Goin' Home」と、スピリチュアルな音を聴く事が出来る。音は全体的にまとまっていて聴きやすいのだけれど、もう少し、行儀の悪い音があってもよかったかもしれない。



そしてこのアルバム、やはり9.11を意識した音なのだろう。それ以降、自国のアメリカに対する憂鬱を、Charlie HadenCarla Bleyは表現したのだと思う。色んな複雑な感情があって、それを表現する事に、あえて抑えた音を選ぶ。過激な表現やアジテーションはヒップホップに任せておけばいい。怒りに任せて表現するのではなく、皮肉を聴かせてみせる。「America the Beautiful」という、アメリカ人以外は聴く気にならないこの曲も、LMO名義になれば無視は出来ない。