Eric Dolphy

最近、思い出したようにEric Dolphyを聴いている。オレにの耳に強烈なインパクトとその後の影響を与えたのは、Lou ReedIggy PopEric DolphyDerek Baileyの四人。何かの音楽に触れるとき、いつもこの4人がいて、そこから音楽が始まる。



オレがDolphyを聴くきっかけは、高校生の頃、よく通っていたレコード屋のお姉さんから薦められた事。当時のオレは、ロックをElvisから現代進行形までつなげて聴いて、そのロックに影響を与えたブルースとR&Bを漁って聴いているという状態だった。

いつもそういうレコード(或いはCD)を買っていくオレに、とある時そのお姉さんは、「***君もジャズ聴いてみれば?」と、言ってきた。その時、オレにとってジャズという音楽は大人の音楽で、30を超えてから聴くようなものだと思っていたから「はあ?」という感じだったのだけど、とにかく聴いてみろと言われて、カウンターの前の椅子に座らされた。そして、何を思ったかそのお姉さん、商品のCDを開けてしまうという行動を取る。レコードならともかく、CDは開けてしまえばシールドを元に戻す事が出来ないのだから、「!!!」になってるオレを尻目に、そのCDをプレイヤーにのせて曲をかけた。そして、その時スピーカーから流れてきたのが、Dolphyの『Last Date』の「You Don't Know What Love is」だった。

そのお姉さんの行動にもビビったけど、スピーカーから出てきた音に、オレはVU以来(或いはそれ以上かもしれない)の衝撃を受けた。ジャズなんて、大人のすかした音楽だと思っていたのに、その音は、ガキなオレの想像を遥かに超えた、優しくて美しくて、刺激的な音だった。そして、この演奏にオレのジャズ童貞を奪われた事は、オレにとっての誇りでもある。



その後、オレはいわゆるジャズ・ジャイアンツを聴いていきながらジャズという音楽に嵌っていくのだけれど、今現在においてもDolphyは最大で最愛のアーティスト。至高の音は『Out to Lunch』なのだけど、それでも、「You Don't Know What Love is」を初めて聴いた時の事は忘れられない。

まだウブだったオレにとって、あの音は刺激が強すぎたのだと思う。