Harold Budd

なんとなく流れで、Harold Buddの『Avalon Sutra/As Long As I Can Hold My Breath』を聴く。これは/で別タイトルになっている二枚組み。

Avalon Sutra』は、Buddのピアノを基調とした音作りで、ここにストリングスやいくらかの楽器が絡んでくるけど、やはり耳に付くのは、Buddのピアノの柔らかい音色。間引いたようなフレーズが続くけど、ここにはジャズのグルーヴやクラシックの端正な音とは無縁な、独特の温かみがある。

一方の『As Long As I Can Hold My Breath』は『Avalon Sutra』を素材にした一時間オーバーの作品で、プロデュースでDavid Sylvianが参加しているらしい。勝手な想像だけど、『As Long As I Can Hold My Breath』が作りたくて(或いは念頭において)、『Avalon Sutra』を作ったんじゃないだろうかと思う。そう思わせるほど、『As Long As I Can Hold My Breath』の完成度は高くて、こっちを耳にするほうが多い。ストリングスのフレーズをメインに使った小さな起伏での展開が、いつもより時間がゆっくり流れているかのように感じさせる。