静寂

元々は、311は、静寂を見た日、に、なるはずだった。それが忌まわしい日になった。しておよそ2ヶ月、静寂のライブ。ハコも元の予定通り、高円寺HIGH。
ライブのハイライトの真最中の様な音から始まった。先頭打者初球ホームランなんてもんじゃなくて、何も思う間もなくヒクソンにマウント取られて殴られている真最中みたいだった。呆気に取られて曲が終わった時に、なんとなくこのハコを選んだ理由がわかった気がした。昨年リリースされた『Mail From Fushitsusha』と『You Should Prepare To Survive Through Even Anything Happens』からの楽曲が演奏されたのだと思うけど、なんかよくわからなかった。というか、どうでもよかったのかも知らん。音圧だけじゃなくて、いくつもの色んな音楽が並んだ。ナスノミツルのベースは、あのテクニカル且つグルーヴィーとは違った間のあるブツ切れな音で、ゴツゴツしていて、更に時折強烈な重低音。一楽儀光のビートは、ドラムというよりも常に乱れ太鼓のように、只管。その姿、マジで胸を打つ。そして灰野。あの圧倒的なギターと、千変万化なヴォーカル。だけじゃなく、フルートやシンバル、皮の無い三味線にブルースハープまで持ち込んだ。ここまでいくつもを1つのライブで扱う灰野を見るのは初めてで、けどどれも、目先を変えるなんてチャチな理由じゃなかった。と、思う。
MCの無いストイックなライブ。あのナスノも激渋に見えた。けど、圧倒的だった。ビール2杯しか飲んで無いのに、うつむき加減で目を瞑って聴いていると、ぐらんぐらんしてそのままトリップしそうになった。なので慌てて頭を起こす、というのを繰り返した。休憩無しの、アンコールを含めて2時間半ぐらい。その間、只管圧倒されて、終わって外に出るまでの階段で、足がしびれていることに気付いた。こんな釘付けになったのは、今までに無い。ハッキリ言って、無い。圧倒的だった。唐突だけど、なんとなくNirvanaを思った。Nirvanaって、最終的にこんな音をやれるバンドになりたかったんじゃ無いだろうか?
311から2ヶ月。今夜でけりが付いた気がする。もちろん311にじゃなくて、自分の、に。