勝井祐二 in the Dark with 石橋英子

昨夜のスターリンは、余韻というのとは違うものが残ったままで。見るライブに向けて自分の気持ちをそれにあわせるという事を自然にしてしまうのだけど、そんな事せずに自分の状況が欲したものをそのままあそこで見る事が出来た。ここ10年ほど見てきたどのライブよりも印象に残るライブだった。もうこれで、2度とライブという場に行けなくても後悔しないと思った。
とか書いてみたけど、今夜は吉祥寺に向かった。マンダラでの勝井祐二の『in the Dark』。これ、1度は見てみたいと思っていて、昨夜があれだったので、逆にこれが気分。しかも共演が石橋英子。オレにはタイムリー。
即興なライブなのでそんなに客いないだろうと勝手に決めつけ、開始予定時間のちょい前に到着。が、思ったより埋まっている。椅子の空きが無い・・・。このライブは照明を落として真っ暗な空間で行われるライブなので、ステージを見る必要は無いのでどこで聴いてもいいと思っていたのだけど、まさか座れないとは思わず、ちょっと考えたのだけど、でも、とりあえず演奏が始まるのを待つ。そして1st、まずは勝井のソロ。照明が落ちる。この暗さを見て、グラスも持てないとすぐに気付き、手探りでそれを手にしてそのまま沈んだ。真っ暗なのだから、人目を気にせず床に座ればいい。これが当たりで、足も伸ばせるし、かなり楽な体勢。瞼(目?)を開けても開いても、じゃなくて閉じても同じ暗さ。この暗さの中で勝井のエレクトリックなヴァイオリン。音楽としてどうとかあまり考える事も無く、ドローンな印象だけが残った。そして石橋さんのソロ。どんな楽器でもあの暗さの中で演奏するのは困難だと思うけど、ピアノには余計にそれを思う。そんな中、石橋さんにはミニマルな演奏の記憶。それと、それを含んだ即興から自身の歌へとつながるサマが、すんなりと嵌っていた。
2ndは更に体勢を変える。その前に場所も変える。ここで見ようと決めてから、暗くなるまで待って、イケルと思った。後ろには人がいない。寝てしまえ、と。勿論睡眠するわけじゃなくて、体勢だけの話。どうせ誰もわからん。オレの横に居た、同じく床に座って聴くという体勢だった人が気付いたかも知らんけど、そんぐらいのはず。真っ暗で、上を見つつ、勝井と石橋さんの音が絡むのを聴く。けど追わない。見えていないと、追うというよりそこにあるのをただ聴く。前の客が妙に動いてウザかったり、後ろの客が人が座っている椅子を蹴飛ばしながらヘタにリズムを追ったり、ケータイとかデジカメで写真を撮って邪魔をしてくれたり、連れと喋ってダサい声を聞かせてくれたり、そういうのもない。ただ音だけを聴ける。勝井のエフェクトから出る音と石橋さんのピアノの音とがただ美音として聴ける。しかもラッキーな事に今夜のオレは、聴く体勢という束縛からも解放されてしまっている。
なので思ったのだけど、このライブ、椅子とかテーブルとか取っ払って、ゴザでも敷いてそこに座って聴けるほうがいいんじゃないだろうか? あの暗さでじっと椅子に座っているというのも、結構キツイ気がする。とか書くと、寝た体勢でライブ聴くなんてふざけてんじゃねえ!!って言われそうだな・・・。
物販で石橋さんのCD-Rを購入。1曲入りなので¥500と安かった。

で、これがそれなのだけど、これ、別にジャケットって事ではなくて、CD-Rとビニールがくっつかないように新聞紙を切り取って入れているだけなのだけど、なのでこの表側はランダムなのだけど、オレのはこんなので、なんか嬉しい。言っておくが、選んでこれにしたわけではない。買うといってお金払って手渡されたのがたまたまこれ。前後のは文字だけのヤツだった。得した気分。