芳垣安洋 RADMF project

今月最後のライブ鑑賞。ピットイン。芳垣安洋メインのセッション。面子のコピペ。
芳垣安洋(Ds,Per)曽我大穂(Fl,Har,etc)高良久美子(Vib,Per)Gideon Juckes(Tuba)ほか
ピットインのスケジュールにある面子に「ほか」とついていることに全く気付かず。その「ほか」は2ndに登場で、1stは4人のセッション。この面子なので強い演奏ではなく、ゆっくりと音が置かれていく。ゆるやかな絡み合いが作る音像は浮遊している。この感じ、いまや殆ど聞かなくなったアルゼンチン音響派(という言葉)を思い出す。と言っても、その括りにされていた連中のライブを見たことは無い。あくまでも録音物だけの印象だけど、なんとなくこういう事が地球の反対側で行われているんじゃないだろうか? 繊細な芳垣のビート、高良さんの音はそれより繊細に纏わりつく。ベースラインでありながら、今夜の音数の中ではメインの管楽器としての存在感もあるJuckes。それらからもっと自由な曽我の小物やフルート、そしてブルージーなハーモニカ。この風変わりな組合せが違和感ない。
2ndの始めにKurt Weillの「ジゴロ」が演奏され、この後「ほか」が加わる。1stの演奏前に芳垣がゲストが加わるといっていて、ギタリストと言っていたので内橋和久?とか思っていたのだけど、出てきたのはハナレグミこと永積タカシ。個人的には曽我がハナレグミとなんらかのつながりがある事は認識していたけど、ハナレグミについては殆ど知らない。でも、メジャーなとこで演奏している人だったはず。こういう畑違いな人を呼んで、しかもその人をメインに演奏するという芳垣のやり方は何度か見てきたけど、それまでは事前に名前が出ていたのに今夜は「ほか」。今夜の客席は2nd時に20人ぐらいにはなったか?ってな数で、多分ハナレグミの名前を出して集客を狙えば客の数は全然違ったと思うのだけど、元々今夜呼ぶ予定ではなかったようで、その辺のこともあってシークレットな状態になったのかも知らんけど、今時、前日であろうが宣伝の手はあるわけで、まあ、そこまでして集客を狙わなかったって事だろう。
永積の歌声はロックの全く無い歌声で、そういえば芳垣が連れてきたオオヤユウスケ高田漣もそんな感じで、ロハスな感じのこの辺りが芳垣の好みの歌声かも知れない。伸びやかに歌っている風だけど、溌剌とは違う。この感じはヴォーカリストというよりシンガーという言い方が似合う。カバーが中心で、Dylanの「Don't Think Twice, It's All Right 」、Impressionsの「People Get Ready」が日本語歌詞で歌われる。更に大沢誉志幸の「そして僕は途方に暮れる」という、ピットインではまず聴く事の無い曲まで歌われた。その「そして僕は・・・」の大沢と永積の声は似ていて、嵌りすぎ、と、思った。本編最後は歌詞の「光と影」という言葉が耳についたので検索してみるとそのままのタイトルのハナレグミの曲があり、それだったのだろう。
結構急に決まったセッションだったというのがよくわかるのは、2ndで演奏する曲を永積以外は知らないという状態だったことで、キーだけ言って後はインスト陣があわせるという演奏だったのだけど、「ホントに知らなかったのか?」って思った。その仕返しではないだろうけど、アンコールでは今夜演奏する予定だったというVictor Jaraの「平和の権利」を永積はハミングであわせることになり、曲を知らなかったのか、或いはあえてそうだったのかよくわからんかったけど、序盤の永積のラララは不安定で、曲メロを曽我がフルートで演奏するだけで十分な感じだったのに、終盤は大きくラララしてて、さすがを聴かせてくれた。ここまで抑え気味だった芳垣もここでONNな芳垣になり、キメキメのパーカッションなソロ。カッコいい。