Fire!

9月になった。ラ王の生産は終わった。
今月はちょっとヤバイぐらいに面白そうなライブが並ぶ。その中でも特に注目はやっぱFire!。いつでもガンガン行くという印象のサックスのMats Gustafsson。Tapeのリーダーで、Sten Sandell TrioのベースのJohan Berthling。個人的に初耳なドラムのAndreas Werliin。この3人によるバンドがFire!。かなり思い切ったバンド名。
文字通り火の出るような、という瞬間は、最初の曲でGustafssonのサックスが咆哮する時に聴こえる。まるでPharoah Sandersの様に無骨に咆哮。Berthlingのベースはひたすら同じフレーズを繰り返し、押し引きのあるWerliinのドラムが装飾。なんとなくColtraneライクな2曲目は、裏に聴こえるGustafssonの音が1回のブレスでのたうちまくり、音数の少ないドラムとベースが淡々としているようで、だけどGustafssonの音より前にいるせいで印象は強くなる。中盤に差し掛かると女声が加わり、変わってGustafssonのサックスは消える。そこから終盤に差し掛かり、音楽が方向転換。リズムは速くなり、エレキ・ギターの様な音が悠々と表立つ。はちきれるのか?、と思っていると、ビートが途絶え、そのまま収まる。3曲目はその前を受け継いだかのように、エレキ・ギター的な音が先導。この音はGustafssonの扱うエレクトロニクス(キーボード)だと思うのだけど、もうこの辺りでは見た目サックス・トリオなはずなのにそういう事は頭の中から消える。エレキの響きを尊重したギター・トリオだと思ってしまう。そして最後の曲はサックスとベース、更にはドラムまでもがユニゾンするかのように同じフレーズを繰り返し、薄くノイズが表層で響きながら短く演奏を終える。
と、アルバムの流れを文字にしてみてもホントはあまり意味は無いのだけど、書いて確認する事で気づく事がある。はずだったのだけど、実はよくわからん。ジャズなのか?、ロックじゃないよな?、って、思う。宣伝文句に使われているサイケデリック・ジャズという言葉を用いるのがわかりやすいのかも知らんけど、それならチラシ貼って終わりそれでは独り言としてはツマラナイ。まあとにかく、分別の難しさではここ数年の色んな作品の中でも目立つ。無理やり纏めると、一番の特徴はベースがとにかくミニマルだという事。なんとなくNecksを思い出す。


って事で、9/12のスーパーデラックスからこのバンドの日本ツアーが始まる。Jim O'Rourkeが加わるという仕様は基本、日本だけなはずで、なんかオレ等、ツキがある。



Fire! 『You Liked Me Five Minutes Ago』