芳垣X坂田 バースデイ・ライブ

本日は坂田明芳垣安洋の誕生日で、その2人がピットインでバースデイ・ライブをやるようになって、今回で3回目ぐらい? まあとにかく面子をピットインのHPからコピペ。



坂田明(Sax,Cl)芳垣安洋(Ds)内橋和久(G)高良久美子(Vib,Per)八木美知依(箏)高岡大祐(Tuba)坂田学(Ds)



オレが積極的にライブを見ている人達が多い。ただ、これだけ揃っちゃうと懸念もある。7人もいるから、ガーッと演奏されちゃうと、そうなるとどうしても聴き取れないモノもある。という事でどういう進行かと思ったら、1stはメインの2人に1人ずつ加えて5つのトリオ。これは望んだ展開。

だけどそれ以上の段取りは考えてなかったようで、最初のもう1人をミュージシャンに立候補させる・・・。そこで「はいっ!」と客席の後方から手を挙げたのは八木さんだった。



初っ端、強烈にアグレッシヴ。これが1stで最も強い演奏だった。見た目可愛らしいお姉さんである八木さん、なのでその音を知らない人にとっては意外だっただろうけれど、Peter BrotzmannやPaal Nilssen-Loveといった半端ない強面と演奏を重ねている八木さんは強い。共演の少ないであろう芳垣が結構挑発されていて、あまり坂田さんを見ずに八木さんの動きを目で追いながら音をぶつけてくる。それに反応して坂田さんも初っ端から飛ばす。

八木さんと高良さんが交代。高良さんはヴィブラフォンをミニマルに。いつもの如く「Reichだ・・・」と思う。芳垣は色づけして、坂田さんは得意の語り気味ヴォーカルをフィーチャー。

今度は坂田Jr。ダブル・ドラム状態。昨年中村達也とこういう状態の時の芳垣はマジ凄かった。本気度120%だった。内橋セッションの時の外山が相手のときは、相手が変態という事もあり、ちょっと遊び気味だった。坂田Jr相手にどう出るのか?と思ったら、丁度中間ぐらい。厳しさもあったけど、合わせてた雰囲気。

そして内橋が呼ばれる。坂田さんがやりやすいように内橋が雰囲気を作っていたと思う。内橋はかなり個性の強い演奏者だけど、こういう事をさらっとやってしまう。

1stの最後に呼ばれた高岡は昨年のAlan Silvaのセッションで見ただけだったけど、冒頭坂田さんが「この楽器はチューバだけど、その概念は外したほうがいい」ってな事言っていて、そんなに奇抜なイメージは無かったのになんで?と思ったら、高岡は変態でした。最初は弱音的なブレス奏法だと思っていたのだけど、横笛の様な尺八の様な音に変わる。ちゃんと見てなかったのでわからないけれど、マウスピースかなんかだけで音を出してたのかもしれないけれど、「何やってんだ・・・面白いじゃないかよ・・・」と、思う。



2ndの最初はメインの2人が参加せずに、内橋・高良・坂田Jrトリオ。演奏前に芳垣がなにか喋っていたけれど、ちゃんと聞いてなかった。坂田Jrが高良さんに師事していたので、師弟な組合せとかそういう事だったはず。

ここのセッションは、いかにも内橋なトリオになるのだけど、ちょっと坂田Jrの音数が多い印象。あそこを抑えると、もっとインパクトの強い演奏になった気がする。でもこの辺は好みの話。

続いてはメインの2人が戻り、そこに八木さんと高岡が加わる。序盤、八木さんにちょっとPAトラブルがあったような気がするけど、この組合せはなかなか興味深い結果。八木さんのアグレッシヴと、高岡のちょい外し気味な音入れが、フリージャズを駆逐している。ここでも芳垣は八木さんと意識せざる得ない展開。

そして高岡を内橋に替える。すると、全体の雰囲気は内橋寄り。やはりこの人の全体掌握力は流石。

セットの最後は勿論全員でのセッション。ここはこう、ガガガと行くわけで、こっちもガガガにノる。



アンコールに坂田さんと芳垣のデュオで「Lonely Woman」。これを最後にやられると、坂田さんの真似して、両手を挙げて「参りました」という気分。美しいアブストラクト。