BrötzFest

組合せを楽しむのがBrotzFestだと勝手に解釈している。今回は、一人だけ3セット演奏するメインのPeter Brotzmann、Full BlastのエレクトリックなベースのMarino Pliakas、ドラムのMichael Wertmullerに加えて、アルト・サックスとクラリネット坂田明、17弦と20弦筝の八木美知依、ギターのJim O'Rourke、アコースティックなベースのTodd Nicholson、同じくアコベの荒巻茂生、ドラムの本田珠也、同じくドラムの田中徳崇が面子。



1stはBrotzmannに加えて、Nicholsonと荒巻の2本のベース、更に本田と田中の2人のドラムという五重奏。司会のラパポート氏は「ダブル・トリオ」と紹介していたような。

初っ端からガンガン行くだろうとわかっていたけど、その通り、期待通りガンガン。2本のアコベと2個のドラムセットの迫力は録音物では再生無理な圧力。とにかくパワフルに叩きまくる本田と、それでも出来るスペースは田中の細かい音が埋まる。そして2つのアコベはピッチカートとアルコという具合に奏法が別れていなければ、どっちがどの音を出しているのかよくわからん。でも、別に誰がどの音を出していても関係ないか。この音の中でも全く消えないBrotzmann。

このセットは脈々と受け継がれているフリージャズのコアといった印象で、やはりコアは強い。



2ndはBrotzmannと八木さんのデュオ。

八木さんはらしい美しい音色と、引っ張ったり叩いたりしながら凶暴なベース音をこねくり出す。Brotzmannは音圧こそ控えめながら真ん中を吹いている感じで、叱られ覚悟で言えば、なんとなくColtraneっぽい。この音の組合せは、八木さんの音がジャジーではないので、ストレンジ(奇妙という文字はちょっと違う)な雰囲気。2人での演奏なのに、音の変化は一番印象に残るセット。



という事で3rdはFull Blastの3人+坂田さん&O'Rourke。Full Blast特別編成。

もう、Wertmullerの音は書き残しておく必要はない。Pliakasは聴く毎に存在感が増していて、エレベ奏者というと個人的にはナスノミツルぐらいしかすぐに音を思い出せる人はいないのだけど、Pliakasの重低音もかなりインプット。しかも、この系の音はスーパーデラックスに似合う。

このセット、何気に凄かったのは坂田さん。BrotzmannとO'Rourkeという、坂田さんを強く刺激する2人と、多分共演歴のあまり無いはずのリズム隊の2人というのが坂田さんに嵌ったと思う。そしてO'Rourkeは結構ブチ切れ気味の危ない音を連発。エレクトロニカな音って、ペダルを上手くコントロールして出しているんだなあと、今更知る。

そしてBrotzmann。このセットは何か気に入らないところがあったか?という場面も見られたのだけど、そういう姿も演奏に対する気持ちの表れ。



ピットインでのFull Blastの2daysとSDLXでのBrotzFest。オレはBrotzmannの音が好きなんだなとハッキリ認識。もちろん満足してるけど、1つ心残りは、今回はクラリネットが聴けなかった。あのクラリネットもかなり好き。来年の70歳の来日もあると期待して待つ事にする。



色々あって見に行けなかった人達もいると思います。が、まだチャンスはあります・・・。

忘年会