Moritz Von Oswald Trio
Jeff Millsのミニマルは強烈なグルーヴと存在感があって、印象に残りやすい。同じ様にミニマルという言葉を用いて説明されたBasic Channel。12インチでリリースされていたものをコンパイルした『BCD』は、「ジッジッジッジッ」とか「チチチチチチチ」という音に加えてスモーキーな雰囲気があって、最初はよくわからなかった。だけど、時々なんとなく聴きたくなる。そうしているうちに、とてもクラブ音楽とは思えなかった微妙なグルーヴが忘れられなくなる。
昨年リリースされた『BCD-2』は新作という事ではなく、『BCD』に収録されていない同時期の曲が並ぶ。フロア向けという事にあてはまる、長尺でリズムのハッキリしたものが多い。その中で特に印象に残る「Phylyps Trak II/II」は、レゲエ / ダブを独自に解釈したと言えるトラック。
BCのMoritz Von OswaldがVladislav DelayとMax Loderbauerの組んだのが、ライブ演奏もするMoritz Von Oswald Trio。MVOが主にミキサーでエフェクト等を弄り、Delayがドラムセット、Loderbauerがシンセ類を扱っているらしい。
そのMVO3名義でリリースされた『Vertical Ascent』。4つのトラックに区切られているけれど、全体で1つと捉えられる。
不穏なシンセとハンドクラップが入り交じったり、淡々と刻まれるビートはパーカッション系の音を多様。抽象的だけどビートは崩れず、あまり変わっていないようだけど、よく聴くと幾つもの変化。終盤にはそれまでよりわかりやすい変化も用意されていて、アヴァンギャルドな面も強くなる。それでもリズムはグルーヴを外していない。
クラブ音楽としての機能を持ちながら、例えばsupersilentやその周辺ともいえるhumcrushとMVO3を並べても違和感は無いはず。
Moritz Von Oswald Trio 『Vertical Ascent』
Basic Channel 『BCD』
Basic Channel 『BCD-2』