定村史朗インプロナイト

ライブ鑑賞4連荘か・・・。でもこの後当分見る予定のものは無いので、いいか。



スーパーデラックス。『定村史朗インプロナイト』。今夜SDLXでこれがある事をクラシックスでチラシを見るまで気付かず。気付いてたらSETSUBUNに行ってたんだろうな・・・、まあ別にいい。面子をSDLXのHPからコピペ。

定村史朗 (バイオリン)、芳垣安洋 (パーカッション)、高良久美子 (ビブラホン/パーカッション)、中島ノブユキ (ピアノ)、朧 (ポールダンス)

中島ノブユキは度々目にする名前。でも、インプロとかをやっている印象はない。そして朧という人、ポールダンスって?、多分ダンサーなのだろうけどそういうジャンルがある事は当たり前に知らない。でも、こうやって時々たまたま見てしまうダンサーって結構面白かったりする。



まずは定村と芳垣のデュオ。今夜はSDLX中央がステージ扱い。距離はありながらも2人が向かい合う形で演奏が始まる。スペースが広い状態なので色々用意している芳垣、今夜はプリミティブ気味。そこに音を載せる定村は、ジャズでもラテンでもない絶妙な響き。刺しあわず馴れ合わず、大人なインプロ。

デュオが終わり、定村が場を外す。芳垣が1人で強めに叩き始める。ソロ?、と思っていると、這い蹲りながら匍匐前進しながら女性が現れる。この人が朧(この時点では読み方を知らない)。女の人だったか。そしてその朧のパフォーマンスが始まる。それまで全く気付いてなかったのだけど、よくみればステージには登り棒の様にポールがある。そうか、これを使って演じるのがポールダンスか、と、やっと気付く。

朧は上部に赤い紐がつるされたそのポールを上ったり下りたりしながらのパフォーマンス。時にその紐に絡まり、或いは全くポールとは関係無しに動いたり。実はかなり官能的。アスリートの様に鍛え上げられた肉体はマッチョに映りながらも、その表情はかなり女性的。刺激するように激しさが増していった芳垣から、いつの間にか高良に演奏が変わる。親指ピアノでミニマル。そして高良さんのセッティングも色々用意されていて、いくつか音を変えると中島が加わってきた。こちらもミニマルな演奏が印象に残る。これらの音と、目の前でパフォーマンスされる動きと、かなりインパクトは強かった。

演奏が終わり朧が退場、定村と芳垣が戻り4人で演奏。ここでは演奏の終盤で定村以外の3人が1人ずつ抜け、最後は定村のソロ状態。



2ndは演奏者4人が揃った状態で演奏が始まる。擦り摩りの芳垣と高良さん。そして朧が加わる。休憩の間にポールに吊るされていた赤い紐は外される。その紐が無い状態のこのセットの方がよりアクロバティックに動く。官能的という意味では1stの方だったけれど、動きはこちらのセットが印象に残る。こういう世界観がある事を知るのは偶然でしかないけれど、折角知ったものはちゃんと書き留めておこうと思う。踊ると言う意味でも、録音物を後ろに回して踊る事とは違うわけで、即興演奏に合わせて即興で踊るものを見たことはあるけれど、そういうものは大体組合せが決まっていたりするのに、今夜のこれはそうではないはず。即興+即興の相乗効果があったと思う。

演奏が続く中、朧が退場する。目の前でかなりのインパクトを見せられた後、演奏の側は音楽の為だけの演奏に切り替わった。芳垣と高良さんのリズムが静かにアンサンブル。考えてから音を置くような中島はジャズ的な音の出し入れじゃなくて、あえて言えば高橋悠治を思わせるような即興。即興でのピアノのこういう演奏は凄く好み。定村は足元のエフェクトを上手く扱い、音色を変えつつ少しずつヒートアップ。この場ならではの芳垣の鈴(みたいなやつ)の転がしもあり。

最後は中島は音を止め、芳垣と高良さんが静かに音を沿え、定村がアヴァン気味に音を連ねた。



見るパフォーマンスとして、即興演奏として、どちらも文句なしに面白かった。