<眼の夢>

ライブの連荘久々。今月初。昨夜が251でGroovers、今夜はピットインで高橋悠治×さがゆき×山本達久というのは、結局オレの性格。



なんとなくクラシックスな組合せ。だけど何よりも、ピットインで高橋さんの演奏を聴く事が出来るという事に大いに引かれた。こういう即興的なセッションで月曜なのでスカスカな予感があったのだけど大外れ。立見まで出る盛況。この客層、多分・・・。まあいい。



1st、高橋さんとさがさんのデュオから始まる。ここは即興ではなく、高橋さんの『ぼくは12歳』(らしい)の曲を3曲ほど。さがさんといえば即興ヴォーカルとして知名度があるようだけど、オレは大友良英との『see you in a dream』と渋谷毅(客として来てました)との『We’ll meet again』しか知らないので、ここでの歌唱は、録音物からの意外性は無い。歌の言葉とメロ、それにさがさんの声もあわせて、なんとなくPhewを思い出す。

続いて山本のソロ。藤井郷子のFirst Meetingでの演奏しか知らないけれど、その時の演奏は印象に残っている。だけどドラムがソロで演奏って、演奏力は勿論、それ以外の部分も大きく必要になる。飽きない程度に聴かせてくれればいいな、とか、なめた態度だったのだけど、ごめんなさい、強烈に耳引っ張られました。基本、パーカッションなものを変化させたスタイルだと思うのだけど、フレージングではない部分で音を連ねる。ここでは特にシンバルの細かい連打の響きが強い印象。

そして3人で即興。さがさんは意味不明語を早口するのが基本線で、Sheila Chandra的なリズム感。即興ヴァーカルとは言ってもドロドロしたところはなくて、とにかく上手いという印象。



2ndは高橋さんのソロから始まる。全く個人的な感想なのだけど、高橋さんの今夜の演奏では、この演奏が一番聴きたい演奏だった。ジャジーというものが全く無いピアノソロをピットインで聴く。

続いてさがさんと山本のデュオ。こうやって組合せを変えることで音楽への興味を持続させようとしていると思えるし、或いは単純にやりたいことをやって楽しんでいる様でもある。

そして3人での演奏。まず、高橋さんがさがさんの為に書いたという「夢の目」。演奏の冒頭は、高橋さんによる詩の朗読。

そして即興演奏。1stでの即興もそうだったのだけど、なんとなく今夜の高橋さんは山本に反応していて、時折フリージャズの様な叩き込みもあり、ちょっと意外。

という事で、今夜は山本の印象がかなり。音の陰影も手馴れていて、D&B用に用意したブレイクビーツを変化させながら扱っているように見えたり、なんとなく、ONJO宇波拓がおもちゃな小物で音を出している様に思ったりしていたのだけど、シンバルを叩き続ける猿のおもちゃまで思い浮かんだ。シンバルを叩き続けて自我を持って、そのうち他のパーカッションも叩きだした猿のおもちゃ。こんなに早く面白いと思わせるドラム奏者って、オレにとっては珍しい事。