John Zorn Special Night

1stと2nd、それぞれ¥5,000のライブ。要するに¥10,000。高。それが両セットともソールド・アウトってのはJohn Zorn知名度の高さを表している。こんなブツブツを言うオレのこのログ、チケットとれなかった人から見ればチケ代に文句言うぐらいなら行かなければいいって感じだと思う。でも、ZornPainkillerを2回見ただけなので、今回の大友良英とJim O'Rourkeとのセッション、そしてコブラのセットとなると、一応見たくなる。



1stはJohn Zorn巻上公一大友良英、Jim O'Rourkeの4人のセッション。名の知れた演奏家4人。期待度は高い、、、という事でも無く、実は面子が揃いすぎだと思っていた。

予想通り、予定調和は言い過ぎかもしれないけれど、気味な内容。多分こんな感じだろうという中で演奏が行われていて、刺激は少ない。音自体の刺激はあっても、音楽的な刺激が殆ど無い。全体の演奏より、Zornと巻上のデュオ、大友とO'Rourkeのデュオが面白かった。

音楽をコントロールするでもなく、思わず立ち上がってしまうようなブチ切れがあるわけでもないO'Rourke。1プレイヤーとして、演奏の色付けをしている。大友も、似たような感じ。この2人はZornに対する尊敬が強いはずで、だから、ああいう演奏だったのだと思う。巻上は相変わらずなのだけど、トリッキーなアヴァンさは、Zornと重なる部分があり、対の楽しみは薄い。

Zornは良くも悪くも2回見たPainkillerの時や、散々聴いてきたCDでの印象と全く同じ。ピーギャーピーギャーして、少しジャズな瞬間もあって。今後、Naked CityかMasadaでの演奏でも無い限り、John Zornを見る必要は無いかもしれない。

1stの本編の最後、ゲストで天鼓が加わったのだけど、個人的には天鼓はスピードがある演奏の中でのパンキッシュなヴォーカルにカッコよさを感じるので、昨夜のいかにも前衛ヴォーカルなものはあまり好みじゃないのだけど、巻上がコミカルに発する声との対比を狙ったのかも。



ここでZornを食って名を上げてやろうと言う若いプレーヤーを入れなかったのは、保身と言ってしまいたい。完成度が高いわけでもなく、強烈な刺激があるわけでもないセッション。正直眠くなった。昨年、Brotzmannや坂田さんが顔を真っ赤にして持てるものを全身で表現していたものを思い出して、まだまだ老け込む歳じゃないだろ?と、Zornに言いたい。



2ndはコブラ。めんどいので面子はピットインからコピペ。



2nd set:John Zorn’s Cobra

ジョン・ゾーン(Prompter)向島ゆり子(Vn)

四家卯大(Cello)佐藤芳明(Acco)伊澤知恵(P)

鳥越啓介,佐藤えりか(Bass)神田佳子(Per)

ぴかちゅうりっぷ,植村昌弘(Ds)大友良英,

ジム・オルーク(G)巻上公一(Voice)



全く名前を知らない人もいるのだけど、結構女性陣が多く、その中で見たことがあるのはぴかちゅうだけ。オレが初めて買ったヴァイオリンが主役のCDが向島ゆり子さんの『Right Here!』だったのだけど、その向島さんをこの機会で見ることは感慨深い・・・。

コブラというやり方自体は、アヴァンの伝統芸能。それを今更見る事にあまり面白さは無いかもしれないとか思ったりしていた。けど、こっちは予想外に面白い。お遊びの要素を演奏に持ち込んでいるわけだけど、真剣に遊んでいる雰囲気がいい。プロンプターのZornの動きを凝視して、与えられた役割をこなす。突拍子も無い事があればあるほど面白いわけで、そういう意味でも、ぴかちゅうの貢献度高し。2年前に巻上がプロンプターを務めるコブラが今夜以前に唯一見たコブラだったのだけど、その時もぴかちゅうが楽しませてくれた。今夜もぴかちゅうの即興家としてのスキル炸裂。コブラにはぴかちゅう。