2009春 梅津和時・プチ大仕事@新宿PIT INN うたうたい

友部正人という人の名前は知っていたし、フォークをやっている人だという事もなんとなく知っている。だけど、その曲も声も全くわからない。

その友部さんが、ピットインで行われている最中の梅津和時のプチ大仕事に出演するという事で、足を向けてみた。というのは結構ウソで、ホントは梅津さんと内橋和久の共演という部分に惹かれた。加えてヴァイオリンの太田惠資という面子が今夜のライブ。



で、まあ、今までここまでの緩さをライブで聴いた事が無いと思ってしまったぐらいに、緩い。



梅津さんの看板でありながら、音楽としては友部さんのものだった。終始、友部さんが歌う。誰がメインなのか、本当にわからなくなるライブ。ニュージーランドから帰ってきて、成田からピットインへ直行したらしい内橋は、内橋和久というギタリストが加わったライブであるという事への期待とは違う、大人の演奏。あの内橋が、ここまでおとなしく歌の為のギタリストに徹するとは・・・。と言っても、ダクソフォンも使っていたけど。

太田は流石のヴァイオリンの響き。擦弦な楽器の響きは、何が特別な音なのかを示しているようで、その中でもヴァイオリンは、演奏者の顔が直接触れるからなのか、聴いている側への滑り込み方が類稀。

主役であるはずの梅津さんは、逆にフィーチャリングされたかのような演奏に徹する。歌メロを吹き、情景を作り、顔は出しても口は出さない。



友部さんの曲は「I Shall be Released」で「Knockin' on Heaven's Door」なのだけど、演奏も含めると70年代のDylan。太田のヴァイオリンがフィーチャーされていたのも、その色を強めていた。



ぶっちゃけ、その緩さにまどろんだ状態で聴ききる事になったライブ。今という時代には全く呼応しないものだと言えるけれど、それが何?と言うぐらいに、型をハッキリさせている。個人的な好みとはかけ離れているけれど、そういう事も別にどうでもいいなと、時間は結構クネクネわかりにくく進んでいると、思った。