Altered States

1stが30分の演奏と10分の演奏。2ndが10分の演奏と30分の演奏。そして10分ほどのアンコール。大体こんな感じだったと思う。全てが終わったのが22:00。コンパクトに終わった。こういう構成は肯定。

2ndの冒頭のMCで内橋和久が「1stはプログレだった」と言っていて、多分それは30分の演奏の事だと思うのだけど、実はオレもプログレだな。と感じていた。だけどそれは、自分が最近見たライブに比較しての事で、こうやって改めてASのライブを見ると、プログレという言い方がよく似合うと思ったという事で、多分内橋の言うプログレ的な演奏というものとは少し違う。で、その1stの最初の演奏は、オレはあまり面白くなかった。1から10で言えば6ぐらいまで上げておいて、それから8まで行って、そこから徐々に7、6、と落とし、せいぜい5まで落とすぐらいの展開。それが30分の中で繰り返された印象。かなり短く演奏は変わっていくのだけど、何度か同じ様な展開があって、「これ、さっき弾いてなかったっけ?」と思ったりしながら、ちょっとまどろみ状態になった。またしても「そろそろASに飽きたのかも」と考えたりして、複雑な気分で次の演奏を待つ。そして短い演奏になったそれは、内橋とナスノミツルがエレクトリックな音がミニマルに響くように演奏をはじめ、それをそれなりに引っ張って、最後はガッツリと熱が上がる展開。ここでいきなり気分回復。少しでもミニマルだと思う部分が出てくるとオレは機嫌がよくなる。大人しく2ndを待てる状態になってしまった。

で、2nd。今度は演奏の起伏がハッキリしてきた。ほぼ6から8の間をウロウロしていた1stから見れば、2から8.7までの幅があった。開示されたものをコロコロ変えず、展開をなるべく先延ばしにする様に徐々に変化。

1stは内橋に近すぎた芳垣安洋もこの辺で音が前に出てくる時間があり、存在感。だけどもっと、もう2つほど上げる叩きがあってもよかった。手数とスピードは申し分なかったのだけど、Emergency!の時の様なヤバめのワンショットが欲しかった。なので不完全燃焼な感はある。

ナスノは今夜の音のバランスが今まで見たASのライブで最も良くて、そのせいで逆にらしさが見えにくかったけれど、ベースという楽器の性質上、常に目立てばいいというモノでもないし、こういう演奏もあるからプレイヤーとしての幅を感じる事も出来る。

ASはやはり内橋次第。特に今夜は内橋の音に左右された。2ndでの内橋は今まで見たことの無いようなテンションでの演奏もあり、掴みどころが無く、「どうするんだろ?」と思いながら、今夜は殆ど内橋の音だけを聴いていた。

春をテーマにしたアンコールは、フリーインプロな厳しい音を序盤に持ち込んだ。強烈にオレの好みな音。そういえばASはいつも、アンコールが面白かったりする。本編の方がASという枠に捕らわれすぎなんじゃないだろうか? だからそれが外れるアンコールは、いつも変わったものが出てきている気がする。

ピットインでの演奏は大体サイクルが決まっているようで、次回は夏前の予定らしい。ハッキリ言って少々マンネリ気味な部分もあったのだけど、今まで見たことの無いようなところも出てきた。相変わらず厄介なバンド。