多羅尾伴内楽團

この間のはっぴいえんどのログで「思い入れの無い立場」と書いたけど、あれは微妙にウソ。オレが中学だか高校だかの時、はっぴいえんどは一時的に再結成をしてライブを行い、それがレコードでリリースされ、その時にラジオではっぴいえんどの特集が組まれ、それをエアチェック(古)して繰り返し聴いていた。その中で気に入っていたのは「さよならアメリカ さよならニッポン」と「風をあつめて」だった。「風をあつめて」は数年前に『Lost in Translation』の挿入歌にもなり、その映画を見て色々複雑な事を思ったりしている。

なぜオレがはっぴいえんどの曲をエアチェック(古)したか?は、当時のオレの知人に大滝詠一ファンのやつ(このネタは前に書いた)がいて、そいつに色々借りていたという事もあって、なんとなくはっぴいえんどというバンドに大滝詠一がいた事を知っていて、それで、という事。エアチェック(古)しかしていないにも拘らず、何故か当時のオレの部屋には販促用のはっぴいえんどのポスターも貼ってあった。衝撃の事実。でも無いか。



今日の仕事帰り、タワレコ。当然渋谷店。昨夜行けばよかったのだけど、微妙な雨が降っていて、傘も無かったのでそのまま帰った。それで今日なんとなく寄ってみると、あの出荷停止になった『はっぴいえんど』と『風街ろまん』(前のログで紙ジャケと勝手に決め付けたのだけど、実際はスリップ・ケースだった)が普通に売っている・・・。「あ?」と思い、手にとる。コレクター気質。そのままレジへ。ついでに『Happy End』も・・・。オリジナル・アルバムまとめ買い大人買い。まだあったので、欲しい方はお早めに。でも渋谷のタワレコ2Fだから残ってたのかも。あそこはホントにガキだらけだし。ジャニーズのコーナーとかあってビビるし。そんなとこにはっぴいえんどのCDを買うなんて層が来る理由は無く、オレも普段は2Fはあまり行かないのだけど、今日たまたま行ってみて、その後5Fに行って、奥のほうに恥ずかしそうに存在しているあの手の音のコーナーで如何にもアート好きですな連中(というかサブカル好きか)を見て、ジャズやワールド音楽のコーナーで小汚い連中を見て、要するに普段ライブで見る連中を見て落ち着く。のはウソで、落差にクラクラする。オレも普通に売れている音楽だけ聴いていれば、こんな事にならずに済んだのになあとか、時々思ってしまう。



というか、この一連の騒ぎで、もしかしてレコード会社は上手い事やったんじゃないか? この騒ぎが無ければ初回出荷がこんなに早く売れたり在庫が一掃されたりする事は無かったんじゃないか? 一番踊らされたのはオレ?という事に気付く。あの件が無ければ、間違いなく買ってない。でも、まあいい。



以上で書きたい事は書いた。だけど同じログタイもどうかと思ったので、多羅尾伴内楽團の『多羅尾伴内楽團 Vol.1&Vol.2 30th Anniversary Edition』を久々に聴いて無理矢理これをログネタに組み込む。多羅尾伴内って言っても、わからん人にはさっぱりな名前だろうけれど、大滝詠一の変名プロジェクト。07年にリリース30周年を記念してリリースされたものなのだけど、元々は別々だったVol.1とVol.2が1枚のCDに収まっている。Vol.1が冬季用でVol.2が夏季用のアルバムなので、今日はVol.1のとこだけを聴いている。この作品はギター・インストな音楽で、今の耳で聴けばというか、当時聴いても緩かったはず。この緩さは天才の成せる技というやつなのだけど、それは言ってみただけで、オレは大滝が天才かどうかなんて知らん。大滝ファンには評価の高いこのアルバムも、結局『Each Time』が一番好きな平々々凡なオレはなんとなくモンドな気分になりながら、「リマスターばっかりしてないで新作作れよ」と思いながら、「何でこのオッサンはこんなに好き勝手に音楽作って遊べたのか?」とか考えながら、でもこうなってくると高校なガキの頃に持っていたけれどあまりの内容に頭を抱えた『CM Special Vol.2』(当然アナログで、確か10インチだった)が久々に聴きたくなってきて、だけどそれのCDは無いみたいなので『CM Special Vol.1』(もしかするとここに『Vol.2』も入ってる?)でも聴いてみるかとか。なんやかんや大滝にはまっているのかもしれない。









多羅尾伴内楽團 『多羅尾伴内楽團 Vol.1 & Vol.2 30th Anniversary Edition』




はっぴいえんどを聴いたので、追記で感想を残しておく。

古いニッポンのロックというものは、実はあまり聴いていない。自分にとってリアルな80年代よりも前のものだと、頭脳警察PantaとFrictionぐらいしか必要だと思っていない。それはJacksを試してみて、あまり面白いと思えなかった事に起因。さすがに古いという感想と、ロックという強さがあまり感じられなかった。はっぴいえんどの『CITY』は中古で拾ってみたけれど、結局「風をあつめて」しか聴いてなかった。それを改めてここで聴いて、結構ロックな音に少々驚いている。Buffalo Springfieldからの影響という事がよくわかる、アメリカの泥臭いロックがハッキリ確認できる。その音とロックから見ればフォーク調な音が相俟った結果のこの音は、確かに個性的。サニーデイ・サービスが単にはっぴいえんどをやっていただけという事がハッキリしてしまったけれど、まあ、サニーデイ・サービスには特に思いいれもないしCDも持ってないので別にいい。自分が良いと思うものを再生してみせるという事も、音楽の1つのあり方だと思うし。