Vinicius Cantuaria

残念ながらここに思いのたけを書く機会の無いArto Lindsay。Lindsayがgutからアルバムを出し、それ以降日本でやるツアーは必ず見ているのに、このブログを書きだして以降、アルバムのリリースは無いし、当然それに伴うツアーも無い。普段聴きしているのでそのうちなんとなく書いてしまおうとか思うのだけど、いつもなんとなく保留。

Vinicius CantuariaはLindsayのサポート・ギタリストとして名前を覚えた。そしてLindsayと同じくgutからアルバムをリリース。そういう人なので、当然のようにLindsayファンのオレはCantuariaのアルバムを聴き続けてきた。Lindsayのライブでは、ヤバスギル音を鳴らすLindsayの脇で静かな雰囲気でギターを弾いているCantuariaは、自身のアルバムでもそういう趣。多少変化球的なものもあったけれど、Cantuariaのもつサウダーヂ感は損なわれない。だけどそれは、パッと耳を掴んでしまう類の音ではないとも言えて、これまでに多々聴いて来たCantuariaだけど、特に印象に残るものは少なかった。昨年末リリースされた新作『Cymbals』も簡単にはインパクトしない。リリースされた頃に手にしていたのに、暑い日々が近づいてきてから、この時期にあうであろうものとして思い出した様に耳にして、保留して、先週あたりからまた聴く様になった。というのも、ラテン系の音楽=暑い時期という勝手な考えが正しくなかった。微熱がある『Cymbals』は、涼しくなってきつつあるこの時期が似合う。

現在はNYに住むブラジリアンなCantuariaは、柔らかくて洗練された音を持っている。サウダーヂ感溢れる演奏のベースはアコースティックな楽器群。その中でもやはりギター(Marc Ribotも参加)の繊細な音が良くて、それに絡む素朴な管楽器の響きやストリングスのバランス、そういうところにブラジリアンの優れたセンスを感じる。

音楽としてはブラジルというより、汎ラテン。









Vinicius Cantuaria 『Cymbals




一度だけCantuariaのライブを見たことがある。もう、何年前になるのかわからないのだけど、場所はブルーノート。金曜の夜という最も混む時間帯の予約。土日なら仕事がないので、15:00に並んで早めに入れる番号をゲットしたりしていたのだけど、金曜はそれが無理なので、そういう日に予約を取ったら良席は望めない。当日、仕事を終わらせてブルーノートに行くと全然人がいない・・・。何かあったのかと焦るオレ。受付に行って、「予約した○○です・・・」と言うとチケットが切られ、その番号を見て絶句。9番。思わず受付の人を見ると苦笑いしている。聞かなくてもわかってるのに「もしかして全然(人)が入ってない?」と聞いてしまうオレ。「はい・・・」とブルーノートの人。

あんなにスカスカなブルーノートはそれが最初で最後だったけれど、ライブは楽しいものだった。ライブの終わりは鳴り物をガチャガチャ言わせながら客席を回って退場して行ったのだけど、その時にバンドのメンバー(確かパーカッションの人)に絡まれた(もちろん愛嬌で)。それも今となってはいい思い出。