Nik Bartsch's Ronin

前作『Stoa』から2年ほどっての新作『Holon』。とりあえずインプレを書こうと思って聴いているけど、『Stoa』の事はあまり思い出せず、自分のログを確認。ミニマルとかヨーロッパ的センスとか『Nefertiti』とか書いてある。『Holon』も大体そんな感じで話はまとまる。

ミニマルと言っても、終始ミニマルにフレーズが繰り返されて終わるわけではない。ミニマルな展開が印象的という事であり、それを受けてのソロは、丁々発止ではなく、音の陰影に則したもにになっていて、そこに『Nefertiti』的な流麗さを感じる。音の要はベース。ウネウネとグルーヴを作り出すこのベースが無ければ、ジャズに括るのは難しいとも思える。だけどそのベースをもしアメリカ人が弾くとファンク度が増して、このクールな感触は得られそうに無い(と勝手に推測)。音の質感は若干フュージョン的でもあったりする。こういう諸々がNik Bartsch's Roninの音楽からは感じられてなかなか面白い。けれど、所謂ジャズファンには向かない音。クラブ音楽好きの方がこの音に反応しやすいと思う。



これで終わってもいいけどウダウダしてみる。



1曲目の「Modul 42」はイントロ的な演奏で始まり、それに終始する。気がつくと終わっているという事。アルバム全体のイントロ的。

ギター的なアプローチのベースと思われるアラビックなイントロが印象的な「Modul 41_17」。Brad Shepikが弾いているのかと思わせるほど。そこから一転して楽曲のテーマを奏で、演奏にグルーヴが入り込む。その後もテーマの提示を時折はさみつつ、演奏に起伏をつける。15分近い演奏も短く感じさせる。ただし、途中ではさまれるBartschのソロはイマイチ。

「Modul 39_8」はいくつかの転換のある演奏。グルーヴィーなところでのBartchのフレーズの繰り返しは文句なし。でも、終始耳に残るのは、うねりと説得力の有る音数の少ないフレーズの使うベース。

「Modul 46」も変化はあるけれど小品風な印象。でも、演奏時間は7分台。

「Modul 45」では全体の演奏はわかりやすく起伏があるけれど、Bartchの弾くフレーズは前のフレーズを少しずつ変化させながら進む。その為、どこに着目点を置くかで演奏の印象が異なる。ここでのサックスのソロもアラビックな印象。そのサックスを期に、珍しく終盤に向けて熱が上がっていく。

金物な小物を使ったイントロが心地いい「Modul 44」。他の楽器が加わり、演奏は淡々と進むのだけど、なんとなく藤井郷子オケを思わせる印象的なフレーズもある。そして中盤を越えたあたりでベースとバスクラが掴みやすいグルーヴを提示。



このアルバムを聴いていて、Morphineを思い出してしまった。









Nik Bartsch's Ronin 『Holon』




ミニマルと言えばSteve Reich。そして待望のReichのコンサートが5月にある。前回及び前々回をタイミング悪く見ることの出来なかったオレは、今回はそれの復讐のように2日間のコンサートに行く。クラシックのホールは苦手だけど、この際そんな事言っている場合じゃない。両日ともS席¥10,000と、普段のオレの行くライブからは想像もつかない金額設定だけど、まあいい。この2枚をセットで買えば¥1,000安くなるのだけど、チケット発売初日にぴあで購入前の座席確認をしたら頭の痛い場所だったので、別にして座席を確認すると全然良席が取れることがわかり、今回は¥1,000を捨てて良席を確保した。贅沢。でも、かなり後方のS席を取るぐらいなら、かなり安い3階席の方がいいと思う。

と余計な話書いたけど、でも、『Holon』を聴いて思い浮かべるミニマルは、実はReichではなくてGrassだったりする。管楽器がミニマルなフレーズを繰り返してグルーヴを出すところなんて、Grass好きにはGrassをすぐに思い起こさせる。それに、Recihのミニマルは良くも悪くも知性に来る感じなのだけど、Grassの方は肉体的ですらあり、『Holon』はそういう音を持っている。



だけど困った事が発生。なんとFrictionのライブがReichの初日と被った。既にReichのチケットは完売状態なのでヤフオクあたりで手放す事も容易だけど・・・。これは大きな悩み。