Likkle Mai

CDとして初のシングルだった『Why are You in a Hurry?』のインプレは書きながら、1stの『Roots Candy』のインプレは書かなかった。なんで『Roots Candy』のインプレは書かなかった?という事は思い出せないのだけど、恐らくあまり印象に残らなかったので端折ってしまったのだと思う。

普通ならそこで興味をフェイド・アウトしてしまえば(金銭的に)楽なのだけど、7月にリリースされたLikkle Maiの2nd『MW』はリリースのタイミングの良さも手伝って、もう一度手に取ることにした。

『Why are You in a Hurry?』の時にも書いたように、Likkleの歌はポジティブな言葉がつづられていて、主に女性に向けて歌っていると思う。オレはそのターゲットでは無いので歌の内容そのものに共感する事は難しいけれど、楽曲とサウンド・プロダクション、そしてなによりLikkleの声に惹かれる。レゲエという音楽を利用したようなものが多々出回りだした日本という場のシンガーの中でも、Likkleの音にはそれに対する愛情の様なものがあって、『MW』はそれを前作以上に感じ取れる。

Dry & Heavyのヴォーカル担当だったという事で興味を持ったLikkleだけど、既にそういう冠は関係なくて、掃いて捨てるほど出てきた日本のレゲエ・シンガーの中で、というか、個人的には日本のポピュラー音楽の女性シンガーのなかでも、聴いていて気分の良くなれる音楽だと思う。

歌詞の部分があれなので、個人的に繰返し聴いているのは「Be Careful」と「The Harder They Come」。要するに英語詞(9曲中2曲が英語詞 / 他の7曲は日本語詞)。「The Harder They Come」は、アコースティックに奏でられ、元々軽やかなJimmy Cliffの名曲にさわやかさが加わっている。

こういうと日本語詞がダメみたいだけど、そうじゃなくて、例えば「Likkle Struggle」なんかはオレにもストレートに響く。まあ、女性の歌の歌詞をそのまま受け取るのは少し照れくさいという事。



『MW』は(ラガラガしてないので)、小洒落た音楽が好きな皆様方にも気に入られるでしょう。だけどオレは、例えば倖田來未とか聴いているような若い女の子がLikkleを聴いてみるのも面白いと思う。音楽に対する姿勢は「売れる為」という事とは違うベクトルのものだけど、わかりにくいものではなく、とっつきやすい音楽性を持っているので、一度ちゃんと聴いてみれば感じるものがあるはず。「カッコいい」という言葉はこういう音にこそ似合う(エロくは無い)。









Likkle Mai 『MW』




『Roots Candy』を聴きなおしてみたのだけど、これ、良い。『MW』と違ってヘヴィーな音で、12曲中2曲が日本語詞で残りは英語詞。何でこれを聴き込まなかったのかその理由が自分でもわからないのだけど、その頃はあまり歌モノに反応できなかったのかもしれない。でも、ここで気付いてよかった。