James Blood Ulmer

Ornette Colemanのハーモロディック理論を理解しているのは、Ornette自身とその息子のDenard Coleman、そしてJames Blood UlmerだとOrnetteが語っているらしい。恐らくハーモロディック理論というのはOrnetteの様に音楽するということだと思うのだけど、それを体現できるUlmerの新作『Bad Blood in the City』にそれが含まれているかどうか、は、オレにはわからない。

『Bad Blood in the City』は、今ではとてもジャズ・ミュージシャンと思えなくなったUlmerらしい現代的なブルースのアルバム。11曲中6曲がブルース・レジェンド達の楽曲のカバー。「This Land is Your Land」への嫌味と思えるタイトルの「This Land is No One's Land」なんてUlmerの曲かと思ったら、John Lee Hookerの「This Land is Nobody's Land」を改題したものだし、「Dead Presidents」も今時なタイトルだけどこれもWillie Dixonの曲だったりして、ブルースという音楽は昔から攻撃性を持ったものだったという事を確認。それらの選曲やUlmerの書いた曲も含めて、カトリーナを受けてのアルバムである『Bad Blood in the City』は、ここで歌われている言葉はわからないけれど、災害によって露呈したアメリカの暗部に対する抗議のはずで、だからギター(とプロデュース)で参加しているVernon Reidが弾いていると思われるソロの凄みは、それを伴ったものとしての説得力がある。









James Blood Ulmer 『Bad Blood in the City: The Piety Street Sessions』