大友良英ニュープロジェクト

オレが普段CDを買うのは渋谷のタワレコレコファンのBEAM店。だけど昔はDisk Unionをよく使っていた。タワレコが今のところに引っ越して、ジャズ〜アヴァンなものが充実しってからは、それと逆行するようにユニオンはその手の音が弱くなり、特に渋谷のユニオンのジャズのフロアは悲惨で、ここ一年ほどは足も踏み入れていない。昔はあそこのユニオンを上から下までくまなく使っていたんだけどなあ。そして新宿のユニオンは多少頑張って、専門毎に店を構えている。当然ジャズ館もあって、タワレコで見つからない場合はここを探すと見つかるようなこともあって割とよく使っていたけれど、ここ数年はネットで探した方が確率高いし値段も安い事も多く、今でも時々ジャズ館に行っては見るけれど、殆ど購入する事は無い。昨夜もジャズ館に立ち寄り、何か無いかと探したけれど、あまりめぼしいものが無い。が、Claudia Quintetの新作『For』を見つけ、これはここで買ってもいいかと思い手に取る。そしてレジで金を払おうとすると、他の客がいて待ち状態。仕方なく他のCDを見つつ待っているとその客がどきCDを持っていこうとすると、横から別の客が・・・。まあ、すぐ後ろに並んでいてわけじゃないので仕方ないと思い、今度はちゃんと後ろについて待っていると、レジの会計がカードでの支払いかなんかが上手くいかないかなんかが起きて、とにかく待たされる。「うーん」と思ってケータイで時間をチェック。ちょっと焦る。さらに二分ほど待ってもう一回チェック。それでも会計が終わる様子は無い。これはまだ時間がかかるし、この後オレが支払う時間も含めると想定外な事になるので、結局CDを元に戻し、あわてて店を出た。

で、慌てて辿り着いたピットイン。が、当日券の購入者が多く、なかなか開場しない。これならCD買っても大丈夫だったなと思ったけど、仕方ない。



大友良英の今回はプロジェクトはロックということらしい。面子はドラムに芳垣安洋、ベースにナスノミツル、キーボードに近藤達郎、大友自信は当然ギター。これがコアメンバーのようで、現在アルバムを作成中らしいのだけど、楽曲によってゲストが加わる構成との事。とりあえず1stはこの四人による演奏。あえてロックということを言っていることからわかるように、セッションではなく楽曲を演奏していた。

一曲目はBrigitte Fontaineの「Comme a la Radio」のカバー。これがこのセットでは最も長尺。すこしずつ音を重ねながらノイズを撒き散らし、「これって曲なの?」と思っていたら、それはイントロでその後曲に移る。「Comme a la Radio」は一応CDでは持っているのだけど、この演奏がその曲だとは気付かず、やはりちゃんと聴きなおすべきだと思った。とにかくあのノイズは凄まじく、かなり気持ちがいい。このノイズは恐らく近藤の手元にあったPower Bookで出していると思うのだけど、この後の演奏でもノイズを使う場面は多く、個人的には思いっきり嵌る事になる。このノイズが展開されている間芳垣はバスドラのような低い音を使わず、シンバルやハイハットの金物でやかましさを演出し、ナスノは同じ音をダウンピッキングし続け、大友は音を引っ張るように残す。近藤はピアノやキーボードで音を加えるのだけど、それが非常に効果的だった。あの展開でピアノの音が遠くで鳴っているように聴こえてくるのは、何ともいえない情景を生み出す。そしてキーボードはMilesのバンドでChick Coreaが弾いている時のような音に聴こえ、またしてもオレはここで「Milesだ」と思ったわけだ・・・。

続いてはタイトル及び歌詞がまだ無い「パンク」という曲。確かに短くて速めのリズムだけど、これってパンクというより・・・。

三曲目は「ダブ」。これもタイトル未定らしいけど、こっちは既に山本精一でボーカルを取り終えているらしい。ここでマイクにディレイをかけ、大友がMCで遊ぶ・・・。

1stの最後は「空」という曲。こっちはタイトルは決まっているけれど、やはり歌詞はまだ仕上がって無いらしい。これも終盤、ノイズが冴え渡る。

2ndはゲストが登場。本来はベーシストのかわいしのぶという女の子が、ヴォーカルとして登場。このしのぶちゃんについては情報が無く、大友のブログに彼女が参加ということは書いてあったけれど、特に調べもせずにいた。が、なかなか可愛いい。そして本来ベースなのに歌ってもなかなかいい声で、これからファンになる事に決定。とか考えながらその歌声を聴いていた。しのぶちゃんは三曲歌い、一曲目はよくわからないけど、多分アメリカのインディーな歌手のカバー。大友が色々説明していたけれど、全然覚えられませんでした。確か曲名は「Untitled」だった。

続いては「パンク」。これは1stの「パンク」とは違い、Part1という説明。1stでやった方がPart2だとか。この時点ではそんな事はどうでもいいと思うのだけど。「Untitled」では座って歌っていたしのぶちゃんは、ここでは立ち上がって可愛い声でパンキッシュに歌う。カッコいい。なんか、PhewMostを聴いている気分。しのぶちゃんは立ち上がっても、座っている時とあまり頭の位置が変わっていなかった。

三曲目は「ダブ」、、、。もういいな。ここではディレイはしのぶちゃんのマイクにだけ使う。芳垣は、もし自分にもディレイがかかるのなら、やりにくいので遠慮してくれと言い出す。そこで大友が芳垣を冷やかす。でも、芳垣はディレイを使わなくてもディレイがかかったような叩きが出来るのは皆知っているし、実際それをやった。この「ダブ」は1stの曲よりもよりレゲエベースのダブになっていて、なかなか気持ちいい。しのぶちゃんは歌うというよりもセリフを時々挟むという感じ。最初は周りの音で殆ど聴き取れなかったけれど、音が減ってからは「Mr 片隅」と言っているのが聴き取れた・・・。

明日(6/6)から倖田來未のツアーにベーシストとして参加するというしのぶちゃんはここでお別れ。残念。そして登場したのは歌舞伎町在住のNこと菊池某。とうとうこの人の生音を聴く機会がやってきてしまった・・・。ちょっと感慨深い。等と思っていると演奏が始まる。菊池が手にしているのはテナー。華奢な菊池にテナーは随分大きく見えるけれど、やはりこの人のサックス吹きとしての才は長けている。菊池の作る音楽はイマイチ好きになれないけれど、こうやって他人のところで吹いている時はやっぱりいい。サックスだけでも十分に注目される存在。

菊池を加えた演奏は少し長めで、この演奏で本編終了。その後アンコールも菊池を含めた五人で、残念ながらしのぶちゃんはいない(明日以降のために帰ったのか?)。アンコールでは、再度「ラジオのように」を演奏。ここでは菊池がアルトに持ち替えていて、ジャジーな感触。だけど中盤以降はノイズにかき消され、遠くでサックスが鳴っているような展開に。

とにかく昨夜はノイズにやられっぱなしだった。ハーシュ・ノイズの様な暴力的なものも嫌いじゃ無いけれど、方向を持たず空間に散らばっていくようなノイズ(あれはホワイト・ノイズと言っていい?)は、そんじょそこらのノイズとはわけが違う。

で、明日はONJQなのだけど・・・。しかも秋山徹次が加わるんですけど・・・。当然行きたいのだけど・・・。果たしてどうなったかは、翌日の投稿をご確認下さい。




ウチに戻ってしのぶちゃんについて調べる。すると、なんと元Super Junky Monkeyのベーシストである事がわかった・・・。SJMといえば623のインパクトが強く他のメンバーについてはあまり覚えていなかった。いまのしのぶちゃんから元SJMという事は想像が付かない。

SJMは、現在に至るまで、日本の女性のロックバンドの最高峰だと思う。そういう括りは本質をゆがめるかもしれないけれど、でも、とりあえずわかりやすいのでこのタームを使う。ライブを見ることは無かったけれど、メジャーデビュー以降のSJMのCDはちゃんと聴いていて、どれもカッコいいものだった。『地球寄生人』なんて、Sick of it All(恥ずかしながら大好きなバンドだった・・・)のLou Kollerがゲスト・ヴォーカルで参加しているぐらいの認知されていた。

SJMについては書きたいことはまだまだある。だけどさすがにあれなので、結局買っていないベスト盤を手に入れてから続きを書く予定。とにもかくにも、しのぶちゃんは今後注目。見た目30前後ぐらいかと思ったけど、オレと同じ年だし。あの声にはオレは抵抗出来ません。声とか喋り方が可愛い女の子というのは最強。