Wilco

オレがWilcoを聴きだしたのはご多分に漏れず『Yankee Hotel Foxtrot』がキッカケ。紆余曲折のあったあのアルバムを聴いて、続く『A Ghost is Born』、更にライブ盤の『Kicking Television』と聴いてきたけれど、その間にNels Cline加入という、オレの趣向からすればかなりビックリするような出来事があったけれど、そのニュースはGuns N' RosesにBucketheadが加わった時を思い出し、そのガンズはBuckethead入りの作品を何もリリースしないままBucketheadが抜けてしまったので、なんとなく嫌な予感がしていたのだけど、『Kicking Television』でNelsのギターが聴け、とりあえず形は残したので良かったなどと考えていた。その『Kicking Television』を聴いた思ったのは、曲や歌の良さであり、いい意味での仕掛けの多い『Yankee Hotel Foxtrot』や『A Ghost is Born』ではその仕掛けとの相乗効果で曲を楽しんでいたと思うけれど、ライブという場の演奏で、そういう仕掛けを省いたWilcoというバンドのポテンシャルを思い知った。

その後、昨年はJeff TweedyとGlenn KotcheにJim O'Rourkeが加わったLoose Furの『Born Again in the USA』、Glenn Kotcheのソロ名義の『Mobile』などがリリースされ、それらのクオリティの高さにWilcoの不在を忘れていたけれど、やっと新作『Sky Blue Sky』がリリース。ニヤニヤしながら手に取る。



実はこの投稿はちょっと前に書いたもので、この後オルタナ・カントリーとかThe Bandに通ずるという話で思った事、でもオレはBob DylanJohn Lennon、Rolling Stonesに加えてGumballを思い出すという事を書いたのだけど、なんかそういう事を書くのは違うと思って保留にしていた。なんでそうしたか?と言うと、このアルバムは誠実な歌声を澄み切った音でそれを支える演奏者達の結晶のようなもので、何かを思い浮かばせようが、音の方向がどうだろうが、そういう事をチクチク書いても仕方ないと思ったから。

このアルバムがロックであろうがカントリーであろうがフォークであろうがどうでもいい。トリッキーな仕掛けがなくても支配的な音が無くても、何かに似ていても似て無くても、そういうものは取り払ったところに『Sky Blue Sky』はある。









Wilco 『Sky Blue Sky』