Caetano Veloso

全編ギターと歌声、そして一部パーカッションの加わる音楽と言えば、すぐに頭に思い浮かぶのはJoao Gilbertoの『Joao Gilberto』だけど、それと同じ構成のCaetano Velosoの『Caetano Veloso』は、『Joao Gilberto』と同じくセルフ・タイトル。86年の作品で、オレもとっくの昔にCDで手に入れているけれど、リマスターされ、さらに何故か限定盤という扱いになっているのを見て、長いこと我慢したけれど結局「なくなる前に」という気持ちになって購入。またしてもセコイ商売に負けた。

Caetano Veloso』は、やはりCaetanoの声を聴くアルバムだと思う。中性的なこの声を気に入っているか否かで、このアルバムの効力は大きく変わる。オレはいうまでもなく気に入っているわけで、だから持っているものを再度買うわけだけど、こうやって久しぶりに聴きなおしてみて、この美しい声にやはり聴き入ってしまう。声はもって生まれた才能。だからこそ特別な声を持つということは、特に音楽においては、その者が別の道を選ばなかった事に運命を思う。それがCatano。

個人的に最も気に入っているのは9曲目の「Pulsar」。誰かの詩に音楽をつけたとこの曲の少しアブストラクトな感触は、わずか1分8秒という短い演奏ながら鮮烈な印象を残す。勿論他の楽曲も文句無しだけど、この1曲の為だけにこのアルバムを買う価値がある事を断言する。









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