The Evens

Fugaziのギター&ヴォーカルのIan MacKayeと、The Warmersの女性ドラマーAmy Farinaによるバンド、The Evensの2nd『Get Evens』。1stの『The Evens』を聴いた時は予想外にタテのりじゃなかったせいで「これはパンクじゃない」と思って初めは馴染めなかったのに、何度か聴いているうちに狭い了見を改めた。

ギター&ドラムというベースレス編成は、どうしても音の響きが上の方になるけれど、それを少しでも解消するためなのか、EvensでIanはバリトン・ギターを使う。そのバリトン・ギターはコード・ストロークでは粒の粗い音になり、5か6弦をピッキングすれば殆どベースと変わらないような音がでる。収録されている楽曲はミディアム・テンポが多いもかかわらず、その編成と演奏時間を短めにしているからか緩い感じは無く、ロック・バンドというスタイルで極限にまで音を剥ぎ取ったといえるようなタイトさがある。Ianだけでは無くAmyが歌う場面も多く、それはこの構成においては単なる余技では無く、大きな役割を担っている。









The Evens 『Get Evens』




Fugaziというバンドは、パンクが好きな連中にはもっとも支持されているバンドの一つだと思う。それは音楽的なことはもちろん、パンクというからには、その姿勢に対する評価も大きいはず。Dischordという、ワシントンD.C.に居を構えたレーベルを運営し、頑ななまでにメジャー・レーベルの方を向かない。そのせいで、(オレの記憶の範疇では)日本盤というものが出たことは無い。あくまでもDIYで、その姿勢でレーベルを20年以上も運営してきた事は尊敬に値するし、だから「Fugaziの・・・」と付けば、それだけで信用させしまうぐらいのカリスマ性もある。だけどもし、Fugazi若しくはDischordがなんらかの形でメジャー配給を受けるようなことになれば、長年のファンからはその事だけでも批判を受けるような危険性も持ち合わせていて、もしかするとそれが足枷になっている部分があるんじゃないかと思うところもあるのだけど、個人的にはそういう展開があってもいいような気がする。それによって、Fugaziというバンドの姿勢をもう一度問い直すきっかけになると思うし、そういう状況になってもFugaziFugaziのままなのか?、という事に興味がある。と言っても、やっぱり今のままで続けて欲しいというのが本音だけど。