Raphael Sebbag

United Future Organizationと言えば、日本では知らない人のいないDJチーム。と、までは言わないけれど、90年代初頭からのクラブ音楽シーンを少しでも知っていれば、この名前は聞いた事があるはず。

そのメンバーの1人、フランス人DJのRaphael Sebbagがソロ名義で作品を発表。一応アルバム・サイズのものが準備されているようだけど、先行でEP扱いの『From El Fantasma De La Libertad』が出た。

この『From El Fantasma De La Libertad』はオリジナルが3曲に、それのインストやリミックスが8曲も収録されているので、アルバム・サイズと言えるだけの曲数になるのだけど、やはりメインはオリジナル・テイクの3曲。その3曲はキューバのヒップホップな人、Telmary Diazをフィーチャーし、ラテンというかかなりキューバの影響の強い。キューバ音楽のノリを、クラブ音楽の牽引者が再構成したと言うか、まあ、とにかくそんな感じ。で、これ、文句なしにカッコいい。ヴォーカルのTelmaryは、1&2曲目ではラップと言うよりもポエトリー・リーディングという感じだけど、他の2曲に比べると少しキューバ色の薄い3曲目の「El Fantasma De La Libertad」では、よりラップと言えるスタイルを披露。それが全然ミスマッチじゃなく、アッパーな曲調と相成って、スピード感を加速させる。

インストはともかく、リミックスはちょっとイマイチなものもあるけれど、最後の「El Fantasma De La Libertad - (Another Ocean, Early Morning, July)」は、ノン・ビートで若干アブストラクトな曲になっていて、意外な収穫。









Raphael Sebbag 『From El Fantasma De La Libertad』




元々3人だったU.F.O.は、現在では松浦俊夫が抜け、Raphaelと矢部直の2人という状態。そんなにU.F.O.名義で活動しているわけでもないので、わざわざ抜けなくてもいいんじゃね?とか思う。

ちょっとだけU.F.O.の事で知ったかぶりを。あの『Mission Impossible』という映画のテーマ曲(「Mission Impossible」)は、最初はUFOにオファーがあったらしい。あの曲を現代的な感覚で録音するのにUFOを使いたいという着眼点はよかったと思う。ところが、結局大人の汚い力によって、某ビッグネームなバンドの2人が作ったトラックが使用されたわけで、その、オリジナルと大差ない某ビッグネームなバンドの2人の曲は結構なヒットになった。で、そのボツにされたU.F.O.の「Mission Impossible」は『The Planet Plan』というシングルに収録されているのだけど、これを聴けばどっちのトラックがカッコいいか、よっぽどドン臭いヤツじゃなければ分かると思う。