John Coltrane

突然、思い出したように聴きたくなるものがある。聴きたくなったのだったら普通に聴けばいいと思うだろうけど、何処にあるのか分からなくなっている場合もある。そのオレのいい加減さのせいで、実は結構何年も前から聴きたいと思っていたのになかなか聴く事が出来なかったのが、John Coltraneの『Ballads』。仕方ないので、この間レコファンで中古を買ってきた。だけど、もしかしたらどこかに隠れているかもしれないという考えがあって、その場合でも納得できるように、今回はDeluxe Editionを購入。これで気持ちがすっきりする。

若い頃、『Ballads』は嫌いだった。このアルバムはオレの様にAtlantic以降の、それも出来るだけColtraneの晩年の音が好きなタイプには、評判が良くない。タイトルからも分かるように、ムードでジャズを聴く人が好むようなアルバム。購入前からそういう音だという事ぐらいは知っていたけれど、Coltraneに嵌っていた時期に、一通りは聴いておこうと思って聴いたけれど、「緩い、ツマラン」という感じで、殆ど聴きかえす事も無かった。だけどやはり歳月は気持ちの変化を生んでしまって、「これはこれで良い」とか、思うようになった。









John Coltrane 『Ballads - Deluxe Edition』




『Ballads』を購入したのはこれで3回目。初めて買ったのはまだ十代の頃だった。それは経済的にピンチの時に躊躇無く手放して、その後心境の変化があった時に、紙ジャケで発売されたのを購入。その『Ballads』は、ジャズを聴き始めの人とかにも聴かせやすいという事でたまに人に貸したりしてたので、誰かに貸しっぱなしになったのかもしれない。

それで思い出したのだけど、まだ『Ballads』の良さがわからない頃、知り合いとStingの『The Dream of the Blue Turtles』とかの話をしていて、その人が「ジャズも聴いてみたい」と言った時に、オレはオレが気に入っていたColtraneの『Transition』やOrnette Colemanの『Free Jazz』を貸した。その後そのCDは無事返却されたのだけど、何も感想を貰えなくて「なんで?」と当時は思った。ホントは『Ballads』とかハード・バップ系を貸すべきだったのだと、今頃気付いた。