高柳昌行

ギター・ソロのアルバムという形態ものが好きで、Derek Bailey

勿論、Fred Frith、Marc Ribot、Noel Akchote、鬼怒無月、内橋和久等々、数々の名手の色々なアルバムをよく聴いている。だけど高柳昌行の『Lonely Woman』はその中でも特に感触が違っていて、それは何なのか?と、少し考えた事がある。その答えが出ずにいたけれど、『Lonely Woman Live』のライナーを読んでその理由が分かった。それは『Lonely Woman』は、シングル・トーンで貫かれた音になっているという事。完全にそうなのかどうかは聴き直さなければ分からないけれど、今、記憶に鳴る音だけを取り出しても、その事に納得が出来る。ダブル・トーンやコードを使えば逃げられるところも、高柳はシングル・トーンで貫き通すという厳しい選択をした。だから『Lonely Woman』には、それを録音した時の状況も加味されるのだろうけれど、他には無い緊張感がある。

その『Lonely Woman』の発売記念ライブとして行われたライブを収めたのが『Lonely Woman Live』で、やはりここでも全編にわたってシングル・トーンでの演奏が行われている(だけど完全にシングル・トーンと言うわけではない)。これをライブで行うという緊張感は並大抵ではないはずで、それを捕らえたこのライブ盤は、一流のドキュメント作品だと思う。









高柳昌行 『Lonely Woman Live』




『Lonely Woman Live』は本来であれば『Lonely Woman』を聴いてから聴くべきものだと思うけれど、その『Lonely Woman』が手に入りにくい状況である事を思えば、『Lonely Woman Live』が流通する現状は歓迎すべき事だと思う。