ECD

メジャーを離れて、自主制作という形になってから3枚目のアルバム『Crystal Voyager』。今作はP-Vineが関わっているようだけど、多分流通だけ。そして今回も¥1,500という破格の値段。これはECDからメジャーのシステム(或は既存のシステム)に対する抗議(若しくは挑戦)だと思っていいはず。オレはその姿勢を尊敬し続けているのだけど、彼がアルバイトをしながらこうやって活動を続けていくその心の強さにも感服する。

『Crystal Voyager』はサンプリングによるビートを使っていない(10曲目の「Copying Kills Captalism」はサンプリングで作っているけど)。ほぼ打ち込み(多分303と808)で、感触としてはAfrica Bambaataa辺りのヒップホップ=エレクトロに近い。しかも音圧が低く、スカスカな音のトラックが並んでいるうえに、ラップが終わった後、特に変化しないバックトラックがそのまま鳴り続けていたりする。そしてミドルテンポの曲が多く、その上で慌てず騒がずラップしている様は、「ラップの弾き語り」といった感じがする。

リリックはいつものECD節。気取らないし、ドスも利かせない。言葉を詰め込まず、ウケを狙っている訳でもない。素のままのリアルな言葉。









ECD 『Crystal Voyager』




最後の最後に笑わせてくれるなあ、ジダン。マジで、あの頭突きのシーンがTVで流れた時は、早朝にもかかわらず声を出して笑ってしまった。あんな行為に至った理由は今はわからないのだけど、らしいと言えば、らしい。

決勝のイタリアのサッカーは、今後4年間を代表するチームとしては満足のいく内容だったとは思えないけれど、後半は前線のトーニやトッティの足元にボールが収まらなくなった状況を見て、カテナチオからのカウンターという、イタリアにとって「勝つ」という事に最もリアリティのある戦術に変えたのは当然だったと思う。結局点を取ることは出来なかったけれど、カテナチオは成功したわけで、さらにPK戦の末W杯を手に入れたのだから、結論としては成功だと言える。

「え?、ファールしてないの?」と思うような、ギリギリのところでもキッチリ仕事をしてしまう、ある意味芸術的ともいえるディフェンスをして見せたカンナヴァーロ。運動量が落ちてからは、ゲームを決めるような決定的な仕事の出来なくなったけれど。目立たなくてもボランチの位置でディフェンスを務めたピルロ。そのピルロが前に出ている時は一人で中盤の底を支え、時には前にも出て、時にはカンナヴァーロの後ろに顔を出すという、精力的な動きを見せたガットゥーゾ。結局オウン・ゴールとマルーのシミュレーションによるPKの2失点だけで大会を終えたブッフォン。この4人の誰かが大会MVPになるんじゃないかと思っていたけれど、なんと結局ジダン・・・。GLでイエロー2枚もらって出場停止になり、決勝で頭突きかましてレッド喰らった選手がMVP。FIFAも笑いが欲しいらしい。